市子ども議会(市議会主催)が8月29日、勝本町の市議会議場で開かれ、市内4中学から各4人、計16人が議員役を務め、一般質問を行うなど市議会を体験。「地域の一員として誰にでも明るく元気なあいさつを心がけ、周りの人とのつながりを深めます」「次代を担う世代として自ら夢を持ち、壱岐の将来を見据えて、課題を解決できるよう、自分たちにできることから取り組みます」など3項目からなる「壱岐市子ども宣言」を全会一致で可決した。
議会全体のテーマは昨年に引き続き「私たちのまちを良くするために」。一般質問は勝本が「市外との交流」、芦辺が「イベント・ボランティア活動による地域活性化」、石田が「安心して暮らせる、壱岐市の医療充実に向けた取組」、郷ノ浦が「子育て支援」を題材に選び、白川博一市長らに取り組み状況、考え方などを質した。
郷ノ浦中3年の黒木向日葵さんは「子ども議会に参加したことで、まちづくりや医療、子育て支援に関わる地元の現状について調べたり、意見をまとめたりする経験ができた。よりよいまちづくりのために議員の皆さんが議会で奮闘してくださっていることを実感した」と代表で謝辞を述べた。
各校の主な質疑と提案は以下の通り。
【勝本】▽ふるさと応援基金活用の3つのプロジェクトの中身が判りづらい。実りの島プロジェクトで古墳や神社周辺の整備、人材育成プロジェクトで農業・漁業従事者確保の補助、しま暮らしプロジェクトで街灯の整備ができないか。
▼市長 ふるさと応援基金の使途をより詳細に開示していくことは重要だ。神社周辺の整備は政教分離の原則から難しい面もあるが、ガバメント・クラウドファンディングなども活用していきたい。農業・漁業はすでに新規就労支援事業を実施しているが、後継ぎとなる子どもたちの応援を考えたい。街灯は自治公民館が管理しており、暗くて危ない場所などがあったら、公民館に連絡して欲しい。
【芦辺】▽全国でB級グルメが人気だが、壱岐はウニ、壱岐牛、メロンなど高級食材の宝庫なので、A級グルメのイベントを行い、スタンプラリーを実施してはどうか。
▼市長 A級グルメを、すでにスタンプラリーを実施している一支國バルフェスタや市ふるさと商社との連携で行うのは一つの手かもしれない。農産物、海産物は気象条件などに大きく左右される。ハウス栽培、養殖もあるが、壱岐の季節感を感じさせることも重要。安定供給システムをどのように確立させるか、協議していかねばならない。
【石田】▽市民が島内医療についてどう感じているか、保護者を対象にアンケートを実施。88世帯から回答を得た。その結果、50%が「自分の受診したい科がない」と答えているが、県壱岐病院には17の診療科がある。医療情報窓口を作ってはどうか。
▼市長 県壱岐病院には17人の常勤医がおり、非常勤は常勤医に換算すると7人分で、計21人の常勤体制と言える。研修医も昨年22人を受け入れた。離島の中では恵まれた医療体制だと思っているが、なかなか常勤が来てくれない診療科もある。あじさいネットを活用して、在宅医療、地域包括ケアシステムに取り組んでいる。医師会などの取り組みが市民に周知されていないことに関しては、在宅医療支援マップの配布、ケーブルテレビや広報いきで紹介を行い、情報提供窓口の設置も検討する。
【郷ノ浦】▽子育て支援を行う壱岐こどもセンターは、建物の外観からどのような施設なのか判りづらい。市内には公園が少なく、1日を通して親子で遊べる場所がない。子育てについての教室、講習会を開き、必要な物資の貸し出し、リユースを行ってはどうか。廃校を活用して、中学生が小さい子どもの面倒をみる仕組みを作ってはどうか。
▼市長 こどもセンターはウインドウディスプレイなどを工夫して、判りやすくしたい。市内には50の公園があり、41か所には遊具がある。新規造成の計画はないが、点検・管理で充実させたい。リユースは以前、かざはやで行っていたが、いまは中止している。フリーマーケットなどで譲り合いが行われている。中学生が子どもたちの世話をしたいと言ってくれることは大変に嬉しく、頼もしい。だが廃校は耐震化工事が行われていないので、使用には不安があるし、再整備も必要だ。仕組みを作ると双方の負担になるので、放課後子ども教室での手伝いなど、最初はボランティア的に手伝って頂けると嬉しい。
【市子ども議会議員】(※は2年、他は3年)▽勝本 下條理喜、土肥ちひろ、大久保都羽、※川上陽子▽芦辺 長元愛奈、安永龍生、日高大地、長嶋愛莉▽石田 長島来希、市村渉真、平田萌々香、※松永彩花▽郷ノ浦 加藤仁一郎、黒木向日葵、吉田香友葵、※日髙綾祐