市議会定例会3月会議は8、9日に一般質問が行われ、7人が登壇した。久保田恒憲議員は、老朽化のため故障による欠航が頻発しているオリエンタルエアブリッジ(ORC)の後継機と壱岐空港滑走路延長について質問。白川博一市長は「後継機は差し当たり、現在使用しているボンバルディアDASH8‐Q200型(39人乗り)と同型機の中古機材で更新を行う方向。その後は引き続き滑走路延長を県、国に要望していく」との方針を示した。また郷ノ浦港フェリーターミナル駐車場整備は市山繁、鵜瀬和博両議員が質問したが、市執行部は新たに立体駐車場などを整備する考えは現時点ではないことを示した。
壱岐‐長崎間を運航しているORCのQ200型2機は、2001年7月、02年4月にそれぞれ運航を開始。機体の寿命の目安は約8万回の着陸とされており、19、20年度に更新時期を迎える。だが機体の老朽化は顕著で、故障により昨年12月6~12日には計107便に欠航が発生するなど、離島空路は大きく混乱した。Q200型は現在は製造されていない。離島航空路の中でも対馬空港は1900㍍、五島・福江空港は2000㍍の滑走路があるため、離陸滑走距離最大1402㍍、基本1300㍍(ボンバルディア社公表スペック)のQ400型(定員74人)に更新しても問題ないが、滑走路1200㍍の壱岐空港では運用が難しいため、Q400型に更新した場合、壱岐空路存続にも関わる問題となる。
白川市長は昨年11月17日の市から県への要望で、その第1項目に「国境有人離島法に則った、1700㍍以上の滑走路を有する空港の整備」を要望したが、中村法道知事は「莫大な費用がかかり、現実的には難しい」と難色を示した。このため2月14日に勝本町で開かれた議会報告会では市民から「航空路は絶対に守らなければならない」との意見が出る一方、「滑走路延長計画など地元にはまったく説明がない」という反対意見も出るなど、混迷を深めている。
久保田議員から改めて現況を聞かれた白川市長は、現時点ではQ200型の中古機材を使用する方向で話が進められている方向性を示したが「中古では長くは期待できない。Q400型は満席で74㌧になるが、壱岐空港滑走路の舗装はこの重量でも大丈夫との返答はもらった。離着陸滑走距離が1200㍍滑走路では本当に不可能なのかどうか、問い合わせているがまだ返答はない。県への要望で『1700㍍以上の滑走路』としたのは、どうせ作るのであればMRJなどジェット機の運航が可能になるようにしたいためだ」と説明した。
また「天草エアラインが使用しているATR社のATR42型(52席)は1200㍍滑走路でも離発着が可能だが、Q200型とは別メーカー製であるためパイロットの養成に膨大な費用が掛かる上、「壱岐路線のためにその専用パイロットを4人程度確保しなければならず、年間数億円がかかるので難しい」と否定的な見解を示した。今後は壱岐空港滑走路延長期成会が設立される運びで、市はより具体的な要望を県、国などにしていく方針だ。