地域づくりへの情熱や想いを高め、豊かで活力ある地域社会の構築を図ることを目的に開催された、平成24年度地域づくり総務大臣表彰で大賞に輝いた長崎県小値賀町。武家屋敷や港を望む漁師町の古民家を改築した「古民家スティ」が評価されたものだ。
古民家スティは滞在型観光を楽しむための施設で、古民家に長期滞在し、地元の人々との交流をベースに、滞在者が楽しめる体験プログラムの充実を図るなど、リピーターとしての期待も出来ることから、全国の自治体で力を入れている。
11日、一支国博物館で、梶浦秀樹さん(株式会社庵代表取締役)の講演があった。小値賀町「古民家スティ」のプロデュースをした人物だ。同社は快適にしつらえた京都家(貸家)への滞在体験サービス「京都家スティ事業」や日本の伝統文化の体験プログラム「文化研修事業」などを行っている。
講演の中で「“暮らすように旅をする”とは、暮らすことで地域コミュニティが生まれるということだ」と話した。
「京都家スティ事業」では古民家の良さを残したまま、ソファーを置いたり、床暖房を設置し、特に洗面台や浴槽は大人の女性が満足出来る、上質なリフォームを心がけて作られている。滞在中は京都でしか味わえないものをいかに旅人に味わってもらうのか。地産地消による食事では、地元ならではの調理方法、一番美味しい時に料理を出すタイミングにも気を遣うなど、まさに「おもてなし」である。
また、ただ暮らすだけではなく、毎日が楽しく過ごせるように、京都の伝統工芸を体験させるプログラムを多数用意。京都市がパリ市(フランス)と姉妹都市ということもあり、滞在者の6割が欧米人で10日くらいは宿泊してもらっているという。
梶浦さんは観光のポイントとして「どんなお客さんに来て頂くか」によって、おもてなしや思いやりの手段が異なるといい、同社では「国内個人」「国内富裕層」「海外富裕層」に絞って事業展開している。
「暮らすことで地域コミュニティを生む」滞在型観光は、まだ壱岐では確立されていないが、どういうコンセプトで、どういう人たちに来島してもらいたいのか。まずはそこから考えないといけない。