社説

市議会の配信を再度見直しては

県議会では9月定例会から議場の傍聴席内に43インチ大型モニターを設置して、議場の発言を自動音声変換ソフトにより瞬時に文字化して字幕で表示するシステムを導入した。「耳の不自由な人でも議会を傍聴しやすいようにするため」の導入であるが、聴覚に問題はなくても議会での発言は時に早口になったりして聞き取りにくいことが多い。「誤変換される場合や、通信状況による表示の遅延・切断が発生する場合もある」と注意書きがされているが、それでも傍聴者にとってはありがたいサービスとなる。ぜひ県議会のインターネット中継の画面にも、この字幕表示をしてもらいたい。
一方で壱岐市議会は、昨年9月から実施していた本会議のYouTube動画配信を、8月末をもって廃止した。議会改革委員会によってすぐに実現した数少ない改革だったが、わずか1年で終わってしまった。投稿動画数は76本だったが、平均視聴回数はわずか30回程度で、中には再生10回以下のものもあった。
動画のアップには議会事務局職員の労力も必要だっただけに、この再生回数では廃止も致し方ないのかもしれない。だが、市議会広報特別委員会や議会運営委員会などでは「なぜ再生回数が伸びないのか」を論議したのだろうか。YouTube配信を行っていること自体、知らなかった市民も多くいたが、十分な広報活動はやっていたのか。誰もが視聴しやすいように、字幕をつけたり、資料を映像に映したりする工夫は考えられなかったのだろうか。何の努力もしないで再生回数が伸びることは、一般のユーチューバーでもあり得ない。
市議会での議員や市長とのやり取りは、市政の今後を左右するだけでなく、市議会議員選挙や市長選挙でどの候補に投票するかを判断する大きな材料にもなる。市ケーブルテレビでも生中継されているが、平日昼間なので視聴が難しい人も多いし、終了時間や昼休みも不定で録画も面倒だ。もう一度、配信方法を見直しては。

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