社説

災害時こそSNS活用を。

7月3~4日に本島を直撃した台風7号は、壱岐空港で瞬間最大風速30・3㍍の観測史上最大を記録するなど、その強風で多くの被害をもたらした。記者が住む郷ノ浦町坪触では午後6時前から深夜0時過ぎまで停電になり、自宅への壱岐ビジョンの引き込み線も断線したことで、停電復旧後もテレビ、インターネットの不通が3日間も続いた。

日没後の停電は誰もが不安になる。懐中電灯は常に用意しているが、部屋に居ても何をすることもできない。「いま台風はどのような状況なのか」「どこかで大きな被害は出ていないだろうか」「停電復旧の目途は。停電はこの地区だけなのか、全島規模なのか」など、とにかく情報が欲しくなる。情報を得ることで、不安は多少和らぐものだ。だがテレビもインターネットもつながらない。後で気が付いたことだが、自宅の防災無線は常に電源アダプターで接続しているため、乾電池が消耗していて、停電時は受信できていなかった。車のラジオをつけたが、役に立つ情報はあまり得られなかった。

スマートフォンのLTEは有効な情報ツールとなったが、充電ができないので無駄に使うことはできない。九州電力ホームページの停電情報は「台風時など大規模災害時の情報は掲載されません」と詳細な情報は更新しておらず、問い合わせの電話はまったくつながらない。壱岐市役所のホームページ、フェイスブックには、道路通行止め箇所だけしか情報が出ていなかった。

白川博一市長は常に「防災が行政最大の責務」と言っている。実質的な災害を防ぐことはもちろん重要なことだが、災害には精神的な被害もあることを今回、思い知らされた。風速30㍍を超える強風に襲われたら停電を完全に防ぐことは難しくても、素早い情報提供で「安心」を与えることはできる。復旧工事にしても、市内全体のひどい状況が判れば「何ですぐに工事しに来ないのだ」という怒りの気持ちも和らぐ。自治体SNSを有効活用してもらいたい。

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