7月24日に房総半島沖で起きた東海汽船のジェットフォイル「セブンアイランド愛」が一時漂流した事故のニュースを見て、震撼した壱岐市民も多かったのではないか。
幸い、乗客116人、乗員5人にけがはなかったが、22時間も波に揺られ続け気分が悪くなった乗客は多くいたという。自力航行ができなくなり、航路から大きく流された時には、生きた心地がしなかったであろうことは想像がつく。
昨年12月12日には九州郵船の「ヴィーナス2」がエンジントラブルのため壱岐沖で漂流する事故があった。約2時間後に停止したエンジンが復旧し運航が再開できたが、強風で流されており、座礁や転覆の大事故になる可能性もあった。それからわずか7か月後に、同じジェットフォイルのトラブルは偶然では済まされない。
「セブンアイランド愛」は1980年建造で船年43年。ヴィーナス2は1985年建造で船年39年。事故の原因として老朽化が挙げられるのは当然のことだろう。機関故障による欠航も年々増えている印象だ。
今年3月、壱岐市航路対策協議会からのジェットフォイル更新の意思に関する質問に対して、九州郵船は「公的な支援の検討状況を踏まえ、更新について具体的な判断を行っていきたい」と回答した。だが、いまのところその具体的な動きは見えてこない。
JRTT(鉄道建設・運輸施設整備支援機構)の共有建造制度を活用すれば、共有期間最長15年、共有比率は上限70%の建造補助を受けられる。国、県、市の補助を考えれば、返済計画などは必要になるものの、金銭的にはすぐに発注も可能ではないかと思われる。発注から竣工までには数年を要するはずで、もう待ったなしの状況にある。
ジェットフォイルの新造が本当に困難なら、人命を考えればどこかのタイミングで廃止も仕方がない。その代わりに福岡‐壱岐の航空路復活なども要望していく必要がある。いずれにしても早急な決断が待たれる。