県はこのほど、22年度に県や市町の窓口を通して県外から県内に転居した移住者数が、前年度比136人増の1876人で、過去最多になったことを明らかにした。県は「新型コロナ禍によるリモートワークの普及で、地方移住の傾向が継続されたことなどが要因」と分析している。
移住者のうちUターンは124人増の1094人、Iターンは12人増の782人で、福岡からが最も多く、東京、神奈川、大阪、愛知と都市部からの移住が多数を占めた。移住先の市町は長崎市が487人と最多で、佐世保市199人、大村市と対馬市が121人で続いた。本市は99人だった。
この数値は「県外からの移住」であり、本市の場合、県内他市町からの分を含めると1年間で70世帯122人の移住となり、これも過去最多だった。この3年間を見ると、19年84人、20年91人、21年86人と80~90人で推移していたため、一気に増加したことになる。
転出の場合は相談窓口を通すことがほぼないため、移住者がどの程度転出しているかは不明だが、住民基本台帳の数値で2021年の本市は、転入658人、転出830人で、転出超過は172人だった。長崎市に至っては転出超過数が18、19年が全国1位、20~22年が同2位という不名誉な記録となっている。少子高齢化で自然減も年々増加するだけに、移住者が増えても、肝心な人口増・維持にはなかなか結びついていないのが実態だ。
その傾向は全国の地方部で共通の課題だが、22年は全国1719市町村のうち564市町村は転入超過になっている。大半は都市部とその近郊だが、県内でも大村市(440人)、佐々町(84人)、小値賀町(2人)が転入超過だった。
人口を増やすには単に移住者を増やすだけでなく、転入者になるべく長期間、居住し続けてもらうことが重要。そのためには転出者に転出理由を出来る限り聞き取り、移住者が済みやすい生活環境を整えていくことが必要ではないだろうか。