見事にダブル勝利発進!! 第96回全国高等学校野球選手権長崎県大会が12日に57チームが出場し開幕した。その初日、佐世保市総合グラウンド野球場の1回戦に登場した壱岐は、鎮西学院に5‐1、壱岐商は長崎南に8回コールド9‐1で、ともに初戦を突破した。両校の応援に、スタンドには壱岐から約100人が駆け付け、2年ぷりの両校初戦勝利を喜んだ。
3投手リレーで1失点
壱岐
エース中本瞭也(3年)が毎回ランナーを背負いながらも、我慢のピッチングで7回1失点。勝利をたぐり寄せた。
1回、先頭打者をいきなりエラーで出塁させ、犠牲バントで1死二塁。だが強打の3、4番を連続三振に仕留めた。2回は1死となったところで豪雨となり、ボールが滑ってストレートの四球。ここで43分間の中断となり、モチベーションの維持も難しい場面となったが、再開後は落ち着いてストライクを先行させ、後続を抑えた。
3~6回はいずれも先頭打者を出塁させたが、失点は5回の内野ゴロ間の1点のみ。6回は2死満塁となったが、1番岩崎を外角低めのカーブでショートゴロに打ち取り、7回の味方の猛攻に結び付けた。
「夏初戦ということで最初は緊張したが、みんなが声を掛けてくれたので、徐々に落ち着きを取り戻した。持ち味のコースを突く投球ができたのが良かった」と投球を振り返った。
壱岐打線は4回、3四球でつかんだ2死満塁のチャンスに、7番吉村勝彰(3年)が左前タイムリーで先制。「四球が続いていたので、初球はストライクを取りに来ると思って狙っていた。思い通りに真ん中のストレートだったので、思い切り引っ張った」と会心の一打となった。
5回に同点に追いつかれたが、7回に勝負を決めた。安打と2四球で2死満塁、チームの中心選手、4番酒井仁汰主将(3年)に打順が回ってきた。「2死二三塁だった5回の打席が、全部変化球で右飛に抑えられてしまったので、今度も絶対に変化球で攻めてくると思っていた」。3球目、真ん中高めにカーブが甘く入ってきたのを見逃さず、センター前に打ち返して2得点。「4番として、主将として、打たんとダメ、と思っていた」と責任感の強さが決勝打を生んだ。
続く5番松永大輝(3年)も右前適時打で続き、この回3点。8、9回は自慢のリリーフ陣から三木、吉村が1回ずつをともに3人で抑えて、会心のゲームで初戦を飾った。
山本孝一郎監督は「昨年は1回戦敗退だったので、まずはホッとしている。中盤まで苦戦したが、7回は良いところで酒井仁に打席が回り、4番らしい仕事をしてくれた。次は海星さんとの対戦だが、基本をしっかりとやっていけば、強いチームが相手で、みっともない試合にはならないと思っている」とNHK杯王者で第2シード校との対戦、に強い決意を見せた。
得点重ねコールド勝ち
壱岐商
1番野田葵(3年)のスピードが、チームを勢いづけた。五十㍍6秒4の快足で、1回に左前打を放つと、二塁を狙う積極的な走塁。惜しくもアウトとなったが、相手に警戒心を与え、ムードを盛り上げた。
1回裏は2死一三塁のピンチに、4番西川が放った右翼ライン際の飛球を一直線に追いかけて、見事にダイビングキャッチ。抜けていれば2失点を喫していただけに、大きなファインプレーとなった。
3回は1死から左前打で出塁すると、2番宮本の二塁ゴロは併殺を焦った相手のエラーを誘う。3番篠﨑の内野安打で満塁になり、4番長岡、5番山本智は連続押し出し四球で2点を先制した。さらに4回は1死一塁から、外角のストレートを逆らわずにはじき返して、右中間の三塁打。宮本の左前適時打で4点目のホームを踏み、試合の主導権を握った。
3安打の野田は「3、4回はゲームの流れをつかむ、1番打者としての役割を果たせたと思う」と胸を張った。西岡行人監督も「1回の走塁はともかくとして、野田が塁に出るとチームが明るくなるのは確か」とムードメーカーの活躍を称えた。
その後も相手の3投手から小刻みに得点。投げては、先発を任された左腕の技巧派・篠崎翔太(2年)がNHK杯の佐世保工戦に続いて、4回1失点の粘りのピッチング。5回からはエース小川●弥(3年)[●は示右]がストレート中心にグイグイと押し、そのスピード差も手伝って長崎南打線に付け入るスキを与えなかった。
篠崎は「コントロールに気を付けて投げたが、4回の2死満塁のピンチは、思い切ってストレートを投げ込んで三振が取れたのがうれしかった」、小川は「4点のリードをもらってからの登板だったので、思い切り腕を振れた。ストレートが走っていた」とそれぞれの投球を振り返った。
平川貴啓主将(3年)は「ミスもあったので試合内容としては満足できるものではなかったが、長崎南は、昨年の1回戦で対戦して敗れた相手だったので、そのリベンジを果たすことができ、うれしい。2回戦は第1シードの創成館が相手。力は相手が上だろうが、チャレンジャーとして、1人1人の役割をきっちりと果たしていけば、突破口は見つかるはず」とチームのモットーである全員野球で強敵に挑む決意を示した。