市は2月21日、市議会定例会3月会議(3月2日開会予定)に提案する総額236億4千万円の新年度一般会計当初予算案を発表した。任期満了に伴う市長選挙(4月12日投開票)を控え、首長の意向を反映させた事業などは含まない「骨格予算」とするのが一般的だが、継続事業や協定締結済み事業などがあるため一定の政策的経費を含めることになり、民生費に本年度比1・0%増の約6億400万円、土木費に同17・9%増の約19億2100万円を計上するなど、本年度当初予算の236億7千万円と比べて3千万円減(0・1%減)と、ほぼ本年度並みの予算規模。一般会計と特別会計の合計は321億8346万円(0・1%減)となった。
新規事業としては、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス研究所、リクルートとの連携協定締結時に発表されていた「壱岐なみらい研究所」の運営事業に約1969万円を計上。地域おこし企業人、地域おこし研究員、市職員が一緒になって市の地域課題の解決手法を学び合い、高度人材育成の拠点にする。
「滞在型観光促進事業」には2千万円を計上。着地型観光促進事業として「大人の修学旅行」をテーマに体験プログラムの構築などや、欧米市場向け誘客促進事業を行う。
「過疎地域集落再編整備事業」には1555万円を計上。移住者が増加傾向にある中、住まいの確保ができていない状況にあるため、空き家を移住者向け賃貸住宅に改修し、行政が空き家所有者、定住者と賃貸借契約を結ぶ。改修費4百万円を3戸、設計監理約355万円を盛り込んだ。また「住宅確保加速化支援事業」として4百万円を計上し、市から認定された空き家活用団体が移住者のニーズに沿った空き家を掘り起こし、所有者から借り上げ改修して貸し出す。
市議会で議論になった市東京事務所に関しては管理費、活動費として約1386万円を計上。首都圏での営業活動、物産展などイベントの展開、サポートショップ発掘、情報発信などの活動を行う。
「東京2020オリンピック聖火リレー」の事業には約1021万円を計上し、リレールートの会場設営、警備体制整備、周知・広報活動を行う。
「新船建造事業」は約541万円を計上し、建造から17年が経過し老朽化により多大な経費を費やしているフェリーみしまに代わる省エネ船舶を建造するため、協議会で問題点や課題を把握する。
継続される事業では、「まちづくり協議会設置事業」に約1億1820万円を計上。全18地区の集落支援員への委託費(6120万円)や需用費(180万円)、交付金(約4662万円)などを盛り込み、活動を本格化させる。
SDGsに関しては「自治体SDGsモデル事業」に4922万円を計上し、アスパラハウス栽培における自動灌水システム構築、市民参加型対話会実施、中学生などを対象とした環境教育プログラム実施などを継続。SDGsの取り組みを市民や企業に分かりやすく説明するためなど「SDGsフォーラム開催事業」にも235万円、水素エネルギー化システムの実証試験システム設備の導入に約2億5千万円を計上した。
昨年リニューアルオープンした壱岐イルカパークに関しては、イルカ2頭の導入と指定管理費に約2911万円、施設改修やイルカ飼育管理強化、研修プログラム造成など壱岐島リブートプロジェクト事業に7986万円を計上した。
その他、4月から指定管理者が交代する市ケーブルテレビ施設に関しては、設備の維持、管理、改修に約1億5615万円、タイワンリスの捕獲委託などの有害鳥獣被害防止対策事業に約2790万円、イスズミなどの捕獲補助や海藻の増養殖対策など磯根資源回復事業に825万円、中小企業活性化のための個別相談を行うIki‐Biz運営などに約2084万円、既存宿泊施設の改修で魅力向上に取り組む壱岐島リゾートアイランドプロジェクト事業に3千万円、郷ノ浦支署のはしご車を更新する消防署車両購入事業費に約1億5235万円などを計上した。
白川博一市長が強い意欲を示しているSDGs関連の水素エネルギー化実証試験、まちづくり協議会、壱岐なみらい研究所や、人口減少対策、交流・関係人口拡大策などへの予算計上が目立つ積極的な予算案となった。