2017年度から施行される国境離島新法の活用方法を巡って、本市などが動きを活発化させている。市は18日、JA壱岐市、各漁協などで組織する「国境離島新法成立における施策づくりプロジェクトチーム」の第2回会議を開き、市各部局、各種団体からの要望をまとめた。要望は20日に県地域づくり推進課に提出した。また国境離島新法制定・期成会(会長・JA壱岐市川﨑裕司組合長)は18日から市内全戸に、市民の意見を募集するチラシを配布した。同法の予算獲得は各自治体のアイデア勝負と言われており、壱岐の各種団体の発想や行動力、そして市民力が問われている。
18日に壱岐振興局で開かれたプロジェクトチームの会議には、各種団体などから30人が参加。11日の第1回会議で提出された活用案の意見集約を行った。
各種団体からの提案は計18項目に及んだ。JA壱岐市は「牛市で購買された子牛の輸送運賃補助増額、成牛の運賃補助創設」「団地牛舎建設のための助成」「新規就農者対策としてUIターン者向け居住設備整備」「大学農学部の研究室誘致」「離島農家の税の優遇措置」など10項目を提案した。
また壱岐酒造組合は「醸造量増加を図るには島内産小麦が不足するため本土からの運搬費用助成」「7蔵が共同しての販路拡大支援」の2項目、各漁協は「国境監視のための漁業取締船の燃油補助」「水産試験場など国の施設設置」など4項目、市商工会は「起業者への継続した支援」、市観光連盟は「宿泊施設の耐震化支援」の各1項目を提案した。
また市の各部局は「離島漁業用燃油平均30円超の補助創設」(水産課)、「三島大橋(原島~大島間)建設」(建設課)、「小規模保育施設(事業所内保育施設)の整備・拡充」(子ども家庭課)、「移住・定住を推進するための若者向け住居確保対策」(地域振興推進課)、「壱岐空港ターミナルビル建替事業」(総務課)、「大学農学部研究室等の誘致」(農林水産課)、「壱岐空港滑走路の延伸事業」(観光商工課)など27項目の提案を行った。
18日から各戸に配布されている国境離島新法制定・期成会からの意見募集のチラシは「こんな事があったらいいな(理想)、どうだろうかな(提案)、やりたい(起業)など、あなたの声をお待ちしています」と27日までを一応の募集期間としている。寄せられた意見はすぐに取りまとめて、市や壱岐振興局に提案していく。
期成会事務局は「これまでは行政主導の地域づくりだったが、今後は生き残りをかけた地域間の競争の時代となる。個性豊かな発想が求められるので、島民が壱岐の未来図を描いていくことが肝心。期成会は今後、『民間会議』と改めて活動していく」と市民から多くのアイデアが寄せられることを期待している。
白川博一市長は市議会定例会5月会議で国境離島新法について「いかに予算を獲得するかが重要。8月には概算要求があるので、できれば5月中には壱岐市の意見を取りまとめたい」とスピード感が重要であることを強調した。
新法は10年間の時限立法であり、少なくとも10年間は継続するためすべての計画が17年度からスタートする必要はないが、1年目の予算実績は今後に大きな影響を与えるだけに、プロジェクトチームや市民からの提案は今後の壱岐市を左右する重大な役割を担っている。