勝本町出身のボートレーサー下條雄太郎選手(31)とその後援会(品川護郎会長)が15日、壱岐高校(山口千樹校長、487人)と壱岐商業高校(大坂良一校長、296人)に10万円ずつ寄付した。盆で本市に帰省していた下條さんが壱岐高校を訪れ、「微力ですが、壱岐の将来を担う生徒たちのために遣って頂けたら嬉しい」と、両高校の校長に直接贈呈した。下條さんは2005年のデビュー以来、着実に成績を積み上げ、これまで通算12回の優勝。今年の賞金獲得額は8月20日現在2638万円で、全国約1600人のレーサーの中で46位。いまやボートレース長崎支部の看板レーサーに君臨している。
下條さんはこれまでも所属する大村ボートレース場がある大村市の学校へ寄付を行ったことがあるが、生まれ故郷の本市への寄付は初めて。「後援会を発足して頂けることになり、その恩返しの気持ちと、壱岐の人たちにもボートレースのことをもっと知ってもらい、1人でも僕のことを見て自分も夢に向かって頑張ってみようと思ってくれれば嬉しいとの思いから、寄付を決めました」と話した。
下條さんは04年に壱岐高校を卒業した。「高校3年まで、実家が電気屋で長男だったので、家業を継ぐのだろうなとぼんやり考えていただけだった。でもボートレースのファンだった父から冗談交じりにヤマト競艇学校のことを聞いて、軽い気持ちで受験したら受かってしまった。人生、何があるかわからないものだが、決まった時にすぐに動ける準備は必要かもしれない」と自身の高校時代を振り返った。
高校では柔道部だったが「稽古で体幹が強くなったことがいまに活かされている。逆に、もっと勉強しておけば良かったと後悔することも多い。頭でっかちになるのではなく、いろいろなことが考えられるようになるには、高校での勉強は重要だったといまは思っている」と生徒たちへのアドバイスを伝えた。
寄付を受けた山口校長は「後輩たちのことを思ってくれるこんなOBがいることは本当に嬉しい。アスリートとしてビッグになった先輩の姿は、生徒たちに大きな刺激となるはずだ。寄付金の使途はまだ決めていないが、高校生活を頑張った生徒に卒業式で『下條賞』を贈ったり、2年生の地域研修で使うバスの費用に充てるなど考えている」と語った。
大坂校長は「生徒の携帯電話の持ち込みを禁止しているが、学校内に公衆電話がなく、不便なこともある。公衆電話を設置する費用にしたい」と使途について提案した。
下條さんは7~12日に地元・大村で行われたお盆特選・日本財団会長杯3日目のアクシデントが響いて優勝戦に乗れず、昨年に続く2連覇は逸したが、22日から27日は若松(北九州市)のSG第63回ボートレースメモリアルに出場中。初のSG制覇を目指している。今後の最大の目標は「年末のSGグランプリ(住之江)出場。賞金獲得上位18人だけしか出場できないので、12月へ向けてスパートしたい」と前向きに語った。