市中体連陸上・相撲競技が、雨天のため1日順延され、16日に大谷公園グラウンドと芦辺中学校で行われた。陸上競技は機器トラブルのため手動計測となったが、最高気温23・3℃、平均風速2・3㍍という絶好のコンディションとなり、7種目で大会新記録が樹立される記録ラッシュの大会となった。各種目上位選手が出場する県中学総体(7月27、28日・諫早市)では、今年も壱岐勢が旋風を巻き起こしそうだ。相撲団体Aは郷ノ浦が優勝した。
3年生になって、陸上女王としての存在感を存分に見せ付けたのが長岡幸奈(郷ノ浦3年)だった。2年連続でジュニアオリンピックに出場している本職の共通走り幅跳びでは、2本目に4㍍77の大会新記録をマークすると、その後もコンスタントに4㍍70台をマークして、余裕で大会3連覇を達成した。1~3年の共通種目で3連覇は、極めて異例な記録だ。長岡は「股関節を痛めていて、ほとんど練習をしていなかった。それを考えればまずまず跳べたが、記録としてはまったく不満。これから仕上げて、県大会では5㍍45の全国中学参加標準記録の突破を狙いたい」と大きな目標を見据えている。そんな体調ながら、3年女子百㍍も13秒1で圧勝し、こちらも3連覇を達成。昨年、一昨年はともに大会新記録で、3年連続新記録も期待されたが、このタイムは機械計測では大会タイだったが、手動計測の大会記録には惜しくも0秒1及ばなかった。共通四百㍍リレーでも郷ノ浦のアンカーとしてチームを優勝に導く、八面六臂の活躍だった。
見事な復活を遂げたのは竹下紘夢(郷ノ浦2年)。小学生時代から全国区で活躍し、中学デビューとなった昨年は百㍍、千五百㍍の変則2冠を達成したが、その後は期待された県中総体などで不振が続き、調子を崩していた。「どこかを痛めていたわけではなかったが、走るのが楽しくなくなっていた」と精神面でのスランプもあった。今年は「少し気分を変えて」共通八百㍍、共通四百㍍、2年リレーに出場。最初の八百㍍で後続を大きく引き離して圧勝すると、四百㍍でもケタ違いのスピードを見せて、この距離では滅多にない2位に7秒5差、50㍍以上も突き放しす53秒0の大会新記録を樹立。リレーでも2走で圧巻の走りを見せた。「きょうは朝から足が軽くて、最初から楽に行ける感じがしていた。走ることがメチャクチャ楽しかった。でも、まさか53秒0が出るとは思わなかった。県大会へ向けて自信になります」と精神的にも完全に立ち直った。
その竹下と小学生時代から長距離戦では好ライバルだった原田航汰(勝本2年)は、ライバル不在の長距離2冠をあっさりと制した。2年千五百㍍は2位に10秒差をつけ4分29秒3の大会新。「去年の千五百は紘夢君に負けてしまい、今年は彼がいないのが残念だったが、それだけに絶対に負けられないという思いは強かった。気分良く、自分のペースで走ることができた」と3年生の記録を5秒以上も上回るタイムを叩き出した。共通三千㍍もスタートから先頭を奪い、3周目には2位に百㍍以上の差をつける一人旅。2位に15秒以上の差をつけたが「千五百の後だったので疲れが残っていた。それでもこのタイムではまだまだ。県大会にはすごい人がゴロゴロいるので、もっと練習してタイムを縮めないといけない」と満足することはなかった。
昨年の県中総体1年八百㍍で優勝し、九州大会でも6位入賞。ジュニアオリンピックにも出場するなど華々しい中学デビューを飾った野村夏希(郷ノ浦2年)も、竹下同様にその後はやや伸び悩んでいた。午前中の2年八百㍍は余裕の逃げ切り勝ちをしたものの、タイムは2分29秒3で、昨年のジュニアオリンピックでは2分23秒台を出していた野村には不満の残るレースだった。だが午後の共通千五百㍍では4分54秒9の大会新。自己ベストの4分51秒には及ばなかったものの、3年生の強豪相手に積極的に仕掛ける力強いレースを見せ、完全復活を印象付けた。「最初に突っ込んで、終盤もペースを維持することが課題だったが、何とかクリアできた。土のグラウンドでこのタイムを出せたのは自信になる。応援の声が嬉しかった」と昨年のタイムを15秒以上も縮めたことに笑顔を見せた。