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赤ちゃんイルカ誕生 奇跡の出産で命名「ミラク」 壱岐イルカパーク

イルカ(親子で仲良く泳ぐエイラとミラク)勝本町の壱岐イルカパークで5月30日に赤ちゃんイルカが誕生していたことを7月28日、市観光商工課が発表した。今年3月25日に和歌山県から導入された3頭のうちの1頭が捕獲前に妊娠しており、同パーク内で出産した。妊娠中の長距離輸送を克服して無事に出産したケースは極めて珍しいため、“奇跡”から「ミラク」と名付けられた。性別はまだ不明だが、元気に育っており、同パークのアイドルになりそうだ。
ミラクは、母エイラ(推定12歳)、母と一緒に同パークにやってきたラシカ(推定10歳)と一緒の生け簀で、ともに泳いだり、ジャンプのまねごとをしたり、母親の上に乗ってじゃれたりと、無邪気に過ごしている。「とても活発だけど、頭も良い子ですね」と柳瀬真生トレーナーはその姿に目を細めている。
まさかの出産だった。母エイラが3月に導入された際に行われた血液検査で、妊娠している可能性は示されていた。だが和歌山から20時間近いトラックでの陸送を行っており、もし妊娠していたとしてもその負担で流産しているものだとスタッフは思っていた。
だが人間のつわり症状のようにエサの食べ方にむらがあったり、逆立ちをするなどの行動は妊娠の兆候を示すもので、腹部も少し膨らんで見えていた。「もしかしたら」という思いもあったが、5月30日午前8時にトレーナーが出社すると、親子で泳いでいるイルカを見てビックリした。「これだけの陸送をして無事に生まれるなんて、奇跡だなと思いました」(柳瀬さん)。「ミラク」という名前はスタッフの間ですぐに決まった。
過去にも、地元で捕獲されたイルカが同パークで出産した例はあったが、すぐに死亡してしまった。「他の水族館などの例を調べて、1か月間が経過すればその後も無事に育つ可能性が高い」(観光商工課)ため、万全を期して誕生から約2か月の7月28日まで発表を控えていた。
同パークの4人のトレーナーは、いずれも赤ちゃんイルカの飼育経験はないが、様々な情報を入手するなどして、現在の施設でできる範囲で最善のケアを施している。「授乳状況を確認し、母親がきちんとエサを食べられるように工夫している。キズのチェックをこまめに行い、ストレスが少ない公開方法を取っている」など全員でサポートしている。
ミラクの誕生直後は1㍍弱の大きさだったが、早くも1・5㍍ほどに成長。土日祝日に行われている「ドルフィン・ウォッチ」(30分・大人300円、定員1回10人・1日2回)と、「なかよしドルフィン」(40分・大人1020円、定員4人・1日1回)のプログラムに参加すれば、その愛らしい姿を間近で観ることができる。
3月に導入された3頭のうちの1頭は4月に事故死してしまった。もっとも若かっただけに活発で、人に対しての警戒心もないスター候補生だったが、まるでそのイルカが蘇ったかのように、明るく元気なミラクが誕生した。壱岐イルカパークを壱岐観光の目玉にするような今後の活躍が期待されている。
◆壱岐イルカパークのイルカたち 1994年開業以来、同パークの「顔」として活躍を続けているパルフェ(メス)。2011年に導入されたあずきとステラ(ともにメス)。今年3月に導入されたのがミラクの母エイラと、ラシカ(ともにメス)で、ミラクが誕生して計6頭となった。この日、名前が発表されたエイラとラシカは、壱州弁の「えいらしか」(かわいらしい」から命名された。

イルカ(名前を発表した柳瀬トレーナー)

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