広報いき6月号に市の今年度新規採用職員が写真付きで掲載された。23人の若者たちのやる気あふれる表情には逞しさが感じられた。将来の壱岐市のため、存分に手腕をふるってもらいたい。
気になったのは、この23人のうち福岡県出身の1人を除く22人が本市出身者である点だ。生まれ故郷のために働きたいという思いが強い人が多いことはよく理解できる。地域の事情に精通し、土地勘や人脈がすでにある点も、即戦力として仕事に活かせるだろう。家族にとっても、市内高校新卒者の残留はもちろん、島外の大学、専門学校を卒業してUターンしてくれることは心強いに違いない。
だが、地方創生のためには旧態依然とした考え方から脱却し、斬新な考え方も必要だ。これまで壱岐とは縁がなかった人材を招き入れることも、市政の活性化には必要ではないか。島外出身者の採用には官舎の整備なども必要になるかもしれないが、新しい血の導入と関係人口拡大を考えれば、十分に価値があるはずだ。
一方で、地域おこし協力隊の募集には力を入れており、現在は7人が任期中だが、さらに「海の資源回復担当」「健康運動プランナー」「農業担い手・集落支援担当」「離島留学生コーディネーター」「ふるさと納税お礼の品活性化プランナー」と計5人を募集している。
同隊員は最大3年間の任期で、募集経費200万円、体験プログラム100万円、活動経費年間400万円(うち報償費は200~250万円)を上限に国から支給される。任期終了後は起業のためのバックアップもあり、定住にも結びつく。地方自治体にとっては非常に有利な制度で、平成30年度は全国1061自治体で5359人が活動した。
だが、いくら優秀な人材であっても任期後に自治体正規職員として採用されることは極めて少ないし、本市ではこれまで1人もいない。起業したい人ばかりではないのだから、正規・嘱託職員採用の道を開いても良いのではないだろうか。