最近「コンパクトシティ」という言葉をよく聞く。国土交通省は「重点政策2014」の「地方の創成、人口減少の克服」の項で、「コンパクトシティの推進」を掲げている。
その目的は「人口減少が進む地域において、生活サービスを効率的に提供するための拠点機能のコンパクト化」などとしており、まち・ひと・しごと創生本部の方針に沿った展開を考えている。
簡単に言えば、散在している人口を1か所に集めて、市民生活の充実を図るシステム。もちろん1次産業従事者がいま住んでいる土地を離れることはできないが、通勤者や、すでに仕事から引退している高齢者が1か所に集まって生活することによって、インフラ整備を重点的、効率的に行うことができるようになる。
例えば運転免許や自家用車を持たない交通弱者が病院や役所に行くのは、路線バスの運航が少ない壱岐では大変な苦労だが、徒歩圏に公共施設があったり、居住区域から集中的なバス運行を行えば、その悩みが解消できる。独居高齢者の見守りなどをきめ細かく行ったり、道路や水道の整備予算の削減が可能になるケースもある。
もし大谷公園に新庁舎を建設するのなら、20年、30年後の壱岐市を、市庁舎を中心としたコンパクトシティとして計画してはどうだろうか。周辺には空き地が多くあるので、市営住宅を集中的に建て、地元商店によるショッピングモールを誘致する。大谷公園のスポーツ施設は高齢者の運動に利用できるので、「スポーツ施設を中心にしたコンパクトシティ」という新しい発想なら、周辺の土地取得などに地方創生予算の活用が可能になるかもしれない。
さらに以前にこの欄で紹介した「スマートシティ構想」を組み合わせて、大規模な自然エネルギーの活用で「光熱費ゼロ」の街づくりも、住宅が集中していれば可能になる。
白川市長は庁舎建設を「壱岐市百年の大計」としている。それならば100年後の壱岐市の姿を想像しながら、思い切った計画を提案して欲しい。