社説

子どもたちが安心できる町に。

神奈川県座間市で起きた悲惨な事件が世間を震撼させている。まだ事件の全貌は明らかになっていないが、1988年の東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件以来、神戸児童連続殺傷、秋葉原無差別殺傷、相模原知的障がい者施設連続殺傷など、社会的弱者をターゲットにした猟奇的な事件が毎年のように起こっている。
先日放映された政治をテーマにしたテレビドラマの中で、小学校が児童に対して「知らない人には挨拶をしないように教えている」との教育方針について、新人市議会議員が「そんなのおかしくないですか」と異議。だが「誰にでも挨拶できるような世の中にしてください」と要望されて、返す言葉を失くしていた。ドラマの中の話ではあるが、それが都会の学校の常識になっている。
突然の雨の中、車で走っていると、びしょ濡れになった小学生が帰路を急いでいる。例えそれが顔見知りの子どもであっても、車に乗せることは絶対にダメ。傘を貸してあげようかと思う気持ちも踏みとどめている。壱岐でも年に1~2回、不審者による声掛け事案が発生している。いまはそういう世の中なのだと納得しなければいけない。
だが壱岐では、中学生、高校生はもちろん、小学生も通学路ですれ違うと、明るい声で挨拶してくれる。信号・横断歩道で停まった車の運転手に対して律儀にお辞儀をする姿は、観光客など来島者を感激させている。素晴らしい文化である。
先日、郷ノ浦町の綿井信久さんが全国防犯協会連合会長表彰を受けた。綿井さんは20年以上にわたって盈科小学校の通学路で、児童の登下校を見守り続けている。綿井さんだけでなく、多くの父母、地域住民、団体がこのような活動を続けているからこそ、子どもたちの「挨拶」の文化が根付いていることを改めて感じた。
安全安心な町づくりは行政だけでは実現できない。市民が一丸となって、子どもたちと気軽に会話ができるような社会を、壱岐では実現させたいものだ。

関連記事

  1. 航空路維持はまだ安心できない。
  2. 合同チームにバックアップを。
  3. 壱岐の未来予想図を示して欲しい
  4. 日本一目指すための補助を
  5. 社説・壱岐郵船の参入は良い緊張関係で
  6. 壱岐ウルトラマラソンに新たな魅力を。
  7. 停電防止に電線地中化工事を
  8. 社説・一流との出会いが子どもの財産に

おすすめ記事

  1. 妻ヶ島でかくれんぼ大会 大自然を満喫、観光イベント定着へ
  2. 中村遼太さん2度目の山口幹雄賞 書「送元二使安西」で別れを表現 第69回市美術展
  3. 日韓で海洋プラごみ回収 50人参加でトラック3台分

歴史・自然

PAGE TOP