8月に正式発足する壱岐市産業支援センター(Iki‐Biz)のセンター長に就任した森俊介さん(33)が17日、自身が創業した東京・渋谷の「森の図書室」で記者会見を開き、今後の抱負などを語った。本市の笹原直記副市長、富士市産業支援センター(f‐Biz)の小出宗昭センター長が同席した。オリジナルの「壱岐パーカー」を着た森さんは「本当に困っている人が誰でも利用できることが、Iki‐Bizの大きな魅力。相談者にリスクを背負わせずに、事業成功の提案をしていくことが任務。契約は1年単位だから、結果を出さなければならない」と強い決意を見せた。
森さんがIki‐Bizセンター長に応募したのは、友人がシェアしていた募集記事を見たことがきっかけ。「昨年11月までは壱岐のことも、Bizのこともまったく知らなかった。記事を見て、壱岐という場所に興味が沸いて旅行をしたら、素晴らしい場所だった。もともと地方で暮らしたいと思っていて、最初は宮崎を考えていたが、壱岐がすっかり気に入った。暮らすためには仕事が必要で、センター長募集の記事を思い出した」と動機を語った。
壱岐での滞在はその旅行と、センター長選考面接での来島など計2週間弱。壱岐の経営者とは面接で顔を合わせた人たち以外とは面識がなく、記者からは「地方ならでは保守的な部分もあると思うが大丈夫か」などの質問があった。
森さんは「壱岐市役所の人たちとはいろいろ話したが、これまで役人に抱いていたイメージとはまったく違い、スピード感があり、フレキシブルに対応してくれた。イメージがまったく変わった。一緒に仕事をするのをすごく楽しみにしている」と前向きに話した。
森さんは5月10日にセンター長就任が発表された直後の15日から、愛知県岡崎市のOKa‐Bizやf‐Bizでセンター長研修を行っている。「実際に相談者と面談して、事業提案をしている。相談者は事業展開に本当に困っていて、Bizに救いを求めて来ている。相談は十人十色で、自分がこれまで携わってきた事業とはまったく違う分野でも、同じレベルでコンサルティングをしなければならない。もっと知識を付け、普遍的なスキルを身に付ける必要がある」と研修に打ち込んでいる。
研修は7月下旬に修了。8月19日にIki‐Bizのオープニングイベントを行い、22日に郷ノ浦町東触の店舗で正式に発足する。スタッフは森さんと、現在募集している副センター長、事務スタッフの3人。実質2人であらゆる業種の相談に応えていくことになる。
森さんは「ミスは許されない、というプレッシャーはある」と話したが、小出さんは「f‐Bizもスタートは2人だった。圧倒的な情報量と、つかんだ情報を生きた知識に転換し、提案に活かすビジネスセンスがあれば、どんな業種への対応もできる。離島だからといって地域差はない。いまより良くなりたいという気持ちは全国共通だ」とIki‐Bizの成功に太鼓判を押した。
◇森俊介さん
1984年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート(現リクルートホールディングス)入社。無料クーポンマガジン「ホットペッパー」の営業などに従事。退社後、2014年に新しいスタイルの図書館「森の図書室」を渋谷に開設。昨年2号店を表参道にオープン。また昨年は24時間利用できる格闘技フィットネスクラブも開設した。Iki‐Bizセンター長就任に伴い、これらの事業は後任に継承した。
◇Iki‐Biz 多数の成功例で注目を浴びる静岡県富士市のf‐Bizをモデルに、地元中小企業の売上向上のためビジネスコンサルティングを基軸に、ワンストップで様々な支援を行う公的産業支援機関。月額報酬100万円のセンター長公募には391人の応募があった。