2月22日に始まった県議会定例会2月会議(3月18日まで)に新年度一般会計当初予算案が提出され、平成28年度船舶リプレイス事業として、印通寺~唐津航路を運航する「フェリーあずさ」のリプレイス補助金18億円が盛り込まれた。同船の更新は28年度から2年間で実施され、新船は30年4月1日に就航予定。事業の実施により、印通寺~唐津航路の旅客運賃が11年間にわたり現在の片道1900円から2割程度低廉化、バスの航送運賃(11~12㍍未満で3万4650円)は5割程度低廉化される予定。正式な割引率は新船就航前に開かれる離島基幹航路運賃対策協議会で決定される。
同事業の実施は、2日の市議会定例会3月会議の行政報告で白川博一市長が述べ、本紙の取材に対して「唐津・印通寺航路のリプレイス事業は23年度から県知事への要望を継続して実施しており、ようやく実現を見た。本市の更なる産業経済の振興、交流人口の拡大に大きく寄与するものと期待している。特にバスの航走運賃の5割低廉化は、観光客の誘致に極めて大きな影響があるのではないか」と語った。
船舶リプレイス事業は、離島・半島航路船舶の建造(更新)などに要する経費を、県が国の社会資本整備総合交付金を活用して助成し、その分を運賃に反映する。運賃低廉化による島民の経済的負担の軽減、交流人口の拡大を図るために実施されるもので、24年4月1日には同事業で、博多・壱岐・対馬航路の「ニューつしま」を廃止し、「フェリーきずな」が就航。同航路の運賃2割低廉化が実現した。
フェリーあずさは昭和62年竣工で船齢28年となっており、老朽化が目立っていた。また海上時化の時には揺れがひどく、観光客などからも不評だった。
予定している新船は、「赤字航路であるためランニングコストを重視した」(九州郵船・竹永健二郎社長)ことからエメラルドからつよりは小型の約800㌧、航海速力はフェリーあずさと同じ14・8ノットで、運航時間はフェリーあずさ同様の1時間45分を予定しているが、スタビライザーを搭載することで揺れは軽減される。またバリアフリーにも対応する。
竹永社長は「リプレイスが決まったことは喜ばしい。ただ運賃を低廉化するからには、乗船客が増えてくれないと赤字が拡大する。地元客の乗船はもちろんだが、壱岐にいかに観光客が来てくれるかが肝心で、九州郵船としても観光客誘致にこれまで以上に力を入れていかなければならない」と話した。
また新年度予算案には船舶リフレッシュ事業も盛り込まれており、これまでの特定医療、後期高齢者、学生(就職活動、進学受検、グループ活動)、身障者等自動車航送料の各運賃の半額割引に加え、今回新たに本土通院割引として、離島で完結できない高度医療を必要とする患者が本土での療養を余儀なくされる場合の旅客運賃についても、半額割引されることになった。
壱岐から病院の紹介状を受けて本土に通院する場合、島民の乗船料が半額になる。補助対象の「本土」は長崎県だけでなく、福岡県も含まれる。
これらの各種割引に、今国会で提出が予定されている国境離島新法による航路運賃低廉化が加われば、壱岐の航路の利便性は格段に改善されそうだ。