九州電力は14日に文化ホールで、本市での再生可能エネルギー発電設備の接続可能量と今後の出力制限などについて、電力事業者を対象にした説明会を開き、35人が参加した。
再生可能エネルギー普及が急速に拡大したことで、九州電力は余剰電力の発生に伴う周波数の上昇による停電を回避するため、昨年7月26日以降、壱岐市での新規の接続申し込みに対して、接続受け付けの回答(電力買い取り契約)を保留していた。
同社は7日に太陽光の接続可能量算定結果を発表。壱岐市は5900㌔㍗だったが、すでに6300㌔㍗との接続を行っており、さらに回答保留を開始した昨年7月25日までに4164㌔㍗の接続申し込みを受けており、受付済み量は計1万464㌔㍗と接続可能量を大きく上回っていた。
このためすでに受け付けている1万464㌔㍗に関しては「旧ルール」での出力制限(定格出力500㌔㍗以上の太陽光・風力を対象に、年間30日までの無補償での出力制御)を、回答保留していた昨年7月26日以降の申し込み(現在までに1107㌔㍗が申し込み済み)に関しては「指定ルール」での出力制限(500㌔未満も含む無制限・無補償での出力制御。ただし平成27年3月31日までの10㌔未満の接続申し込み案件は出力制御の対象外)を行うことを参加者に伝えた。
出力制御の機器は現在システム開発中で、離島への導入は28年度中となる見込み。機器は事業者が設置しなければならないが、価格はまだ未定という。
指定ルールでどの程度の出力制御が実施されるのかは、今後の申し込み状況や天候などによって大きく左右されるため試算が難しく、現時点の受け付け済み量で算定しても発電可能電力量の50%近くが制御される可能性がある。
指定ルールでは家庭用太陽光発電も無制限・無補償制御の対象となることから、参加した電力事業者からは「太陽光パネルの設置を希望しているお客さんにどのように説明すれば良いのか」と困惑する声が聞かれた。
同社電力輸送本部電力品質グループの松下哲也グループ長は、今後の受け付け拡大の可能性について「大型蓄電池の導入は考えていない。本土と結ぶ海中ケーブルのプランも進んでいない」と、極めて厳しい状況であることを説明した。
再生可能エネルギーの拡大で「エコエネルギーの島」を目指していた壱岐市にとって、計画は頓挫が余儀なくされる事態となった。