壱岐市議会報告会が14日勝本庁舎、15日文化ホールで開かれ、勝本会場は20人、郷ノ浦会場は70人の市民が参加した。庁舎建設特別委員会(鵜瀬和博委員長)、総務文教厚生常任委員会(豊坂敏文委員長)、産業建設常任委員会(深見義輝委員長)から各委員会の活動実績報告がされた後、参加者から市議会への質問、要望が行われ、庁舎問題では市議会の姿勢に対して批判が集中した。
住民投票が終わり、建設中止が決まっても、参加者の意見の矛先は庁舎建設に関してのものがほとんどとなった。
「住民投票には1300万円もの貴重な税金が使われた。議会が議決を行えば無駄な税金を使うことはなかった」との意見に町田正一議長は「法律的にはおっしゃる通りだ。だが住民投票を求める署名活動が予定され、説明会でも建設反対意見が多かったことから、白川市長は“市民の意見を聞きたい”と住民投票条例を上程し、議会で1人の反対はあったが可決した。議会として間違った方向ではなかった」と説明した。
「(住民投票前から)市民の意見は反対だったのに、市民の代表である議会はなぜ建設の必要性を認めたのか」との意見に町田議長は「合併後10年も経過しているのに、4庁舎のままでいいのか。合併特例債が使えるうちに一元化して経費を削減した方が将来のためだと判断した。庁舎は防災拠点であり、警報が出たら夜中でも職員が詰めかける。職員のためでも、市長のためでもなく、住民のための庁舎だ」と庁舎建設構想が将来の壱岐市のためであったことを強調した。
「1日の庁舎建設特別委員会で音嶋委員と町田議長が激しく言い争いをしたのは、見ていて恥ずかしくなった」との指摘に対して、町田議長は「議会放送後に電話で“判りやすくて良かった”とも言われた。議会は行政の文章を読むだけでいいのか。あのような論議があっても良いと思う」と反論した。
庁舎建設特別委に対しては「住民投票の結果は市長、議会へ対しての不信任だ。市民の意見を汲み取らなかった特別委はどのように責任を感じているのか」との追求があったが、鵜瀬委員長は「市民の皆さんの意見を聞いた上で、委員は判断した。新庁舎建設で4庁舎の職員が大きく減少することは確かに懸念材料だったが、新庁舎の供用までには3年間あるので、その間に地域の特色を生かした地域振興策が実施できると私は判断した。市民の意見を聞くことも重要だが、将来を見越した決断もまた必要だった」と特別委の意義を強調。「建設中止は残念だということか」との質問に「そうだ」と答えると、質問者は「他にも残念だと思っている議員がいたら挙手をしてくれ」「なぜ自分たちが間違っていたと言えないのか」などと気色ばんだ。
庁舎問題以外には「芦辺港ジェットフォイル発着所のフェリーターミナルへの移動」「市ホームページの改善」「IUターン対策に若手職員のチーム結成」「議員定数の削減と議長任期の延長」「市の奨学金制度創設」「旧かたばる病院の跡地活用」「島内産業の活性化」「ガソリン価格の低廉化」「ふるさと納税の充実」などの要望が寄せられ、それぞれ今後の議題として検討していくことを約束した。