日本と韓国を海底トンネルでつなぐ夢のようなプランを語る「日韓トンネル壱岐フォーラム」(日韓トンネル推進長崎県民会議など主催)が9月25日、壱岐文化ホールで開催され、市議5人など約40人が出席した。
計画を進めている国際ハイウェイ財団の大江益夫理事長(65)は「日韓トンネルの理念と事業」と題した講演で、プロジェクトの進捗状況の詳細を説明した。
計画は佐賀県の東松浦半島(唐津)から壱岐、対馬を経て、韓国の巨済島、そして釜山に至る全長約230㌔。対馬から巨済島までは最短経路で約55㌔、海流が比較的穏やかな西水道を経由すると約65㌔。1988年に開通した世界最長海底トンネルの青函トンネルの53㌔や、94年に完成した英仏海峡トンネルの49㌔よりも長い、世界最長の海底トンネルとなる。青函トンネル建設時のスタッフを揃えており「技術的には不可能ではない」と強調した。唐津-壱岐間は約30㌔、壱岐‐対馬間は約50㌔となっている。
同財団はすでに唐津市に20万平方㍍の斜坑(本坑を採掘するために必要な作業坑)基地を確保し、計画の半分の約600㍍を採掘している。また対馬の西海岸にある阿連(あれ)に40万平方㍍の土地を取得し、9月11日には坑口オープン式を実施した。
壱岐でも芦辺町諸吉本村触の馬ノ瀬地区に3万平方㍍の斜坑候補地を取得済み。勝本町には資材置場の土地も確保した。計画では、トンネルを壱岐中央部に通すことは地下水、温泉への影響が予想されるため、東部の海岸沿いを通過。トンネルは壱岐では地上に上らず、地下駅を設置する予定となっている。
財団はこれまでの工事に約120億円を費やしているが、今後の工事は総工費6~9兆円、工期15~17年という日韓の国家的プロジェクトとなるため、各県に「日韓トンネル推進県民会議」を設置して、気運の盛り上げに取り組んでいる。「民間ではとてもできない規模なので、国が動き出した時にすぐに調査を始められる準備をしていくことが、私たちの役目です」と大江理事長は語った。
また日韓トンネル推進長崎県民会議の川口勝之議長(80=長崎大元教授)は講演「壱岐の地域振興と日韓トンネル」で、「日韓トンネルは送電線の設置という大きな意味も持っている。いま日本の電気料金は1㌔㍗25円と世界一高いが、送電線でモンゴルからの風力発電の電気を購入すれば1㌔㍗2~3円と大幅に安くなる。ソフトバンクの孫正義社長も同じ考えで計画を進めている」と電力面でのメリットを語った。