社説

1人の意欲でも役所は変わる

syasetsu8月25日にフジテレビ系で放送された人気ドラマ「HERO」第7話は、静岡県熱海市が舞台だった。検事の木村拓哉さんと、事務官の北川景子さんが熱海市内のホテルに宿泊し、同地に住む被害者に話を聞くというストーリーだったが、敢えて熱海を舞台にしなければならない理由は見当たらなかった。
そのいきさつについて、ネットに記事が掲載されていた。「熱海市役所観光経済課でロケ支援担当をしている山田久貴さんがすごい」という内容だった。
各役所のロケ支援担当や、フィルムコミッションが、ロケ誘致と撮影のために行う業務は多岐に渡っており、山田さんがその仕事を完璧にこなしていることはもちろんなのだが、それだけなら全国に多くの担当者がいるだろう。
山田さんは市ホームページの中に「ADさん、いらっしゃい」というコーナーを設け、自分の携帯電話番号を公開して「365日、24時間、いつでも連絡を下さい」と、ロケ地探しをしているアシスタント・ディレクターからの連絡を待っているのだ。
市役所勤務の前は商社などの民間企業で働いていた山田さんにとって「顧客に携帯電話番号を伝えるのは当たり前のことだし、相手が連絡を取りたい時に電話がつながらなかったら、せっかくのチャンスを逃してしまう」という役人とは思えない発想で仕事に取り組んでいる。
連絡があったADとはLINEで写真を送付するなど情報のやり取りを行い、ロケ候補地の確認を行ってもらっている。そのような努力が実を結び、熱海市でのロケは取り組みを始めた平成24年度に62件と、前年から倍増。その影響かどうかは判断できないものの、熱海市の観光客数は20万人も増加した。
山田さんも市長以下、市職員の全面的なパックアップがあるからこそ、ここまで思い切った誘致活動を行えるのだろうが、1人の職員の意欲で市全体の意識が変化を起こすこともあるという好例だ。壱岐市の“山田さん”誕生を願いたい。

関連記事

  1. マラソン参加者の延泊対策を
  2. 社説 マスコミを上手く活用する方策を
  3. 横文字多用は能力の欠如。
  4. 社説・一流との出会いが子どもの財産に
  5. 社説・新聞とは何か、改めて考える
  6. 家庭生活は男女平等ですか?
  7. 社説・移住希望者が利用しやすいシステムを
  8. 歴史を学ぶ、郷土学習の必要性

おすすめ記事

  1. 今年の人身事故8件 市交通安全協会
  2. 中総体県予選に初出場、3位に 空手道クラブチーム修練会
  3. 「壱岐の魅力は日常に」 協力隊長澤さんが活動報告会

歴史・自然

PAGE TOP