社説

歴史を学ぶ、郷土学習の必要性

syasetsu 平安時代中期、延長5年(927年)に編さんされた格式の一つ、『延喜式』の全国神社一覧などで、九州107座のうち、月読神社や天手長男神社など24座が壱岐にあることから、壱岐島は“神々の島”と呼ばれている。
古事記の国生み神話で8つの島が生まれ、日本の国土(大八島)として5番目に生まれたとされる壱岐(伊伎)島。別名「天比登都柱(あめひとつばしら)」とも言われ、神社の数は神社庁に登録されているだけで150社、その他、自然神を祭祀している祠(ほこら)などを含めると千社を越える。
なかでも伊邪那岐命(いざなぎのみこと)と伊邪那美命(いざなみのみこと)の御親神が生んだとされる月読尊(つくよみのみこと)を御祭神としている月読神社は、松尾大社(京都府)や伊勢神宮(三重県)の月読神社「元宮」とされており、神道が中央に根づく事になった経緯から、“神道発祥の地”ともいわれている。
この史実をどれくらいの壱岐島民が知っているだろうか。ほとんどの人が知らないのではないか。
Iターンから壱岐に来た当時、白川市長から「壱岐はパワースポットの島でもあるので、是非、情報発信をして欲しい」と聞いた。しかし、島外からの情報で神社の数が多いことも、月読神社が元宮であることも、まったく知らなかった。情報発信が不足しているとしかいいようがなく、本当にもったいない。また情報発信しようにも、壱岐島民が知らなければ、どうやって島外に伝えることが出来るのか。
日本近代文学や考古学に詳しい、佐賀女子短期大学の横尾文子教授は、「壱岐の歴史を世に広めるためには、“ふるさとを学ぶ郷土学習”を教育委員会と連携して、大人ではなく、子どもに勉強させることが一番の近道である」と話していた。
正月三が日に毎年180万人以上の参拝客が訪れる宇佐神宮(大分県)や、学問の神様として崇められている全国の天満宮の総本宮で、受験生らが合格祈願に訪れる太宰府天満宮(福岡県)などを見ても、神社仏閣の人気に流行や廃りがある訳ではない。安定した交流人口の拡大に繋げられるはずだ。
そのためにまずは壱岐島民が壱岐の歴史を学ぶことが第一歩となる。

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