© 【公式】壱岐新聞社 All rights reserved.

20144/11

壱岐の「里海」を目指して

syasetsu 3月23日に放送されたNHKスペシャル「里海」は大変に興味深い内容だった。高度経済成長期に赤潮が年間300回近くも頻発し“瀕死の海”と呼ばれていた瀬戸内海の環境が、この数年で劇的に改善されてきた。海岸では“生きる化石”カブトガニが産卵をし、沖ではずっと姿を消していたスナメリが泳ぎ、生態系のピラミッドが確立されつつある。漁業も好調だ。
復活の要因とされているのが、かきの養殖筏(いかだ)だった。赤潮の原因であるプランクトンを、かきが捕食することで水の透明度が増す。かき1個で1日に風呂桶1杯分のろ過を行うと言われている。かきの殻には様々な生物が付着し、付近には新たな生態系が生まれる。
水が透明になると太陽光が水中深くまで差し込み、海藻が生える。漁師もアマモの種を蒔いて繁殖を助ける。繁茂したアマモは海のゆりかごで、その中には多くの魚などが棲むようになる。
「海の回復は自然に任せるしかない」というのがこれまでの一般的な考え方だったが、人が手を加えることで豊かさを取り戻すこの「里海」と呼ばれる手法は、いまでは世界からも注目されるようになってきた。米国では同様なかき筏が設置され、インドネシア・ジャワ島ではえび養殖とマングローブ植栽による自国版「里海」を展開させている。
海洋環境の悪化に比べれば、回復のスピードは決して「劇的」ではない。だが漁師たちは「継続は力」と、後世のためにアマモの種まき、せん定作業もコツコツと続けている。
壱岐にも漁場藻場研究所が設置されるなど、海洋環境回復の取り組みは行われ始めており、壱岐版「里海」にも大いに期待したいが、回復が必要なのは海だけではない。
「大らかだった昔に比べると、ずいぶんと荒んでしまった印象がする」と言われている壱州人の心の回復も、また大切なことだ。3年目を迎えた壱岐新聞が「かき筏」となり、「里海」を作り出すことができるような記事を、今後も届け続けていきたい。




  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事

201710/19

今年も超人たちが集結 50㌔女子・松本久昌さんに注目 21日に第2回壱岐ウルトラマラソン

第2回壱岐ウルトラマラソン(同実行委員会主催、レオパレス21特別協賛)が21日、壱岐島一周特設コースで開催される。出場申し込みは100㌔が4…

201710/13

生涯活躍のまち構想。指針・実施計画策定委員会が報告。

指針・実施計画策定委員会(委員長・小川全夫九州大学名誉教授)は9月27日、策定した基本指針・実施計画を市生涯活躍のまち推進協議会(会長・白川…

201710/13

大谷グラウンド改修に積極さを。

6月23日号の社説で「大谷グラウンドを全天候型に」との提言を行った。それとほぼ同様の質問を、9月4日の市議会定例会9月会議一般質問で鵜瀬和博…

201710/13

男女とも郷ノ浦Aが優勝。全11区中10区で区間新記録。市中体連駅伝大会

市中学校体育連盟駅伝競走大会(男子54回、女子37回)が5日、筒城浜ふれあい広場ジョギングコース(1周1000㍍)の周回コース(男子6区間2…

201710/6

別府温泉の恩返し。豊永さん宅に温泉配達。

壱岐に別府温泉がやってきた。 大分県別府市が、熊本・大分地震から1年が経ち、観光客の減少のピンチを支えてくれた全国の人たちに感謝の気持ちを…

ページ上部へ戻る