NHKの朝ドラ「まれ」が、第1週の平均視聴率が20・6%と好調な滑り出しを見せている。
第2週からはヒロインの土屋太鳳が登場し、物語にさらにスピード感が出てきた。個人的には北海道での記者時代、まだ学生だった時から数多く取材した大泉洋が、遂に朝ドラ出演を果たしたことが感慨深い。「申し訳、ありません!!」と土下座を繰り返すあのダメ親父ぶりは、まさに大泉のキャラクターにピッタリで、「水曜どうでしょう」の初期の頃を懐かしく思い出してしまう。
フィクションの現代劇で、オリジナル脚本という点でも「あまちゃん」とどこか似たテイストが感じられるが、地方と首都圏の2つの舞台があるという点でも共通している。「能登編」の舞台となっているのは石川県輪島の近くの架空の土地だが、輪島塗、朝市、塩田など数多くの名物が紹介されている。
「あまちゃん」の場合は海女漁に加えて東日本大震災と三陸鉄道が番組の1つのテーマになっていただけに岩手県久慈市が舞台として必須だったが、「まれ」の場合は必ずしも輪島市でなければならない理由は見当たらない。同じ地方都市として、ついうらやましさを感じてしまう。
壱岐市での本格的な番組・映画のロケは、上野樹里、三浦春馬らが来島した2008年公開の映画「奈緒子」以来、行われていない。抜群のロケーションに加えて、人除け・車除けが容易である点もロケにとっては重要な要素であり、これほどロケに適した街は全国でも数少ないはずだ。
だが、いまのテレビ・映画のロケは、黙って待っていても選んでもらえない。全国100以上の自治体などには「フィルム・コミッション」(映画のロケーション撮影の際に発生する宿泊、地元住民との交渉、エキストラ、仕出しなどの業務を撮影者に代理して行う機関)が設置され、積極的な誘致合戦が行われている。
制作現場は予算削減で、なるべく低予算での撮影が求められており、自治体からの援助が必須。NPOなど民間が誘致を行うのはなかなか難しい面がある。壱岐市も観光商工課内にフィルムコミッションを設置して、映画・テレビドラマのロケ誘致に、思い切った予算を割いてはどうだろうか。