本市の地方創生には、交流人口拡大が最大のテーマであることが以前から叫ばれているが、他の観光地に比べると不親切な部分が目立っていた。特に案内標識は、地元の人間は判っていても、初めて壱岐を訪れた観光客には不便なものが多かった。
市観光商工課はこのほど、日本遺産に関連する壱岐古墳群、カラカミ遺跡、生池城跡、勝本城跡、内海湾など9か所のPR看板をリニューアルし、写真付きの美しい看板が完成した。観光地に行き着くまでの道路案内などまだ不十分な部分も多いが、予算もあることなので、まずは一歩ずつでも整備されていくことは喜ばしいことだ。
だが先日、筒城浜海水浴場を訪れた時に、何とも不似合いな看板が建てられているのを見て、残念に思った。海水浴場の2か所に、大きなスチール枠のトイレ案内板ができていたのだ。
観光客、海水浴客にトイレの場所を案内することは必要だ。筒城浜海水浴場のトイレはキャンプ場側にあるため、慣れない海水浴客はその場所を探すのに苦労しているのかもしれない。海水浴客に配慮した看板であることはよく理解できる。
だが「九州で最も美しい海水浴場」とも言われている筒城浜の魅力は、白い砂浜とそれを取り囲むクロマツの林。都会から来た観光客は、こんなに美しい砂浜に誰も人がおらず、人工物がほとんど見当たらず、まるでその景色を自分一人で独占できているような気分に浸れるのだ。
せっかくのその景色の中に、大きなトイレ看板は興ざめしてしまうし、写真を撮影する時にも邪魔で仕方がないことだろう。観光客に対しての「サービス」は何が最適なのか、観光客の視点に立って考えて欲しいし、この看板の設置場所は早急に再検討を望みたい。