社説

前向きな議会運営を切望する

昨年後半の政界は「政治とカネ」の問題で大きく揺れた。その影響は2024年も続きそうで、今月召集の通常国会も大荒れになりそうだ。悪い膿は徹底的に絞り出してもらいたいが、市民生活に直結する物価高騰対策や税制改正など喫緊の課題も数多くある。国会では不祥事の追求だけでなく、各種政策が国民にとってより良いものとなるような前向きな討論を期待したい。
それは壱岐市議会も同様だ。市から上程された議案のほぼすべてが原案通り可決されているが、本当に市の提案は完璧なものだったのだろうか。議員は市民から選ばれた代表なのだから、より広い市民目線でその政策に改善点がないのか、もっとじっくりと議論してもらいたい。
議案に対して反対を唱える議員もいたが、ただ反対するだけで対案が提示されることはほぼなかった。理想を掲げればきりがないので、しっかりと財源確保の方法も提示した上で対案を示さなければ市側も納得できず、内容が改善されることはない。また、市側のミスを追求したり、謝らせることばかりに執着しているように見える「質問」も見受けられたが、市執行部に頭を下げさせても事態が好転するわけではない。もしミスがあったとしたら、次にどう挽回するかが大切なはずだ。
素晴らしい対案を議員発議したとしても、採決で賛成多数にならなければ採択されないのだから、事前に議員内で賛同者を募り、可決されるよう働きかけを行うことも重要だ。一匹狼では理想の政策を通すことができないのが政治の世界であり、民主主義である。足踏み議論は時間の無駄でしかない。
今年は新しい市長が誕生する。誰が当選したとしても新人だけに、十分な議会答弁はできないかもしれない。だが市民が選んだ本市の新しいリーダーなのだから、揚げ足を取ったり、失言を誘導したりする議論ではなく、みんなで新市長を支え、フォローし、より良い施策が実現できるための前向きな議会運営を行って欲しい。

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