社説

市議会はコンプラ遵守に自浄作用を

コンプライアンスを遵守しなければならない時代になっている。昭和の時代には許されていた発言も、いまでは厳しく責任を追及される。先週号で市議会議員の不適切と思われる発言についての記事を掲載した。昔なら、議員が強い言葉を使って行政を追及する様子に、市民は「しっかりと仕事をしている」との印象を受けていたかもしれない。かつての国会議員にも痛烈な発言で人気を得ていた人が多くいた。
だが現代は、差別的な発言は論外だが、人によって高圧的と感じさせられるような「強い言葉」そのものが、もはやコンプライアンス違反なのである。9人が立候補して大混戦の自民党総裁選候補の記者会見、演説、討論を見ていても、冷静沈着で論理を積み上げての発言に終始。記者からの挑発には乗らず、テレビ討論も声を荒げるようなシーンはほぼ見られなかった。声の大きな人の意見が通る時代ではないのだ。
その点で壱岐市議会には時代遅れな部分がまだ残されている。一部議員は、行政職員らに対してまるで自分の部下かのように見下した態度を取ることがあったし、市長をはじめ市三役に対しても「市のトップなのだから、何を言われても当然だ」と言わんばかりの言動も見られる。立場の上下に関わらず常に相手にリスペクトの気持ちで接することが求められている。物事に絶対的な正義などほぼないのだから、相手を全否定するような言動も慎まなければならない。市議会はコンプライアンス遵守の徹底を、マスコミからの指摘ではなく、自らの自浄作用で行ってもらいたい。
それはマスコミ、市民も同様だ。強い言葉で権力に物申すというのは完全に時代遅れのマスコミの姿だ。新聞記者は理詰めな取材を重ね、冷静に丁寧な記事を書かねばならない。自戒したい。市民も、一部のアクセス数稼ぎを目的とした過激な評論家らの言動に流されて、自らもSNSに過激な言葉を使わないように注意する必要がある。1人1人の注意が人権尊重につながる。

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