3月は別れの季節。県振興局や教職員の人事異動、島外に進学・就職する高校生らが、七色の紙テープに見送られながら港から島を去っていく。何度経験しても別れはつらく、切ないものだ。
今年は長崎本土や福岡県の高校に進学する中学生が、例年よりもかなり多いようだ。スポーツ、文化面での特技を活かして、よりハイレベルな高校に進学して腕を磨くことは、大きな刺激になることだろう。進学する高校生にとっては、本市にはこころ医療福祉専門学校だけしか選択肢がないため、大半の高校生の島外進学は仕方がない。人口減少対策には島内就職促進が重要であるため、市、壱岐振興局は高校生のための合同企業説明会、企業訪問バスツアー、企業情報誌の作成など様々な取り組みを行っている。
また有人国境離島法による雇用拡大事業により、島内企業が多くの新規事業を手掛けるようになり、また新規参入企業も現れた。高校卒業生にとっては、島内でも魅力的な職業に就ける可能性が高まってきた。これらの施策で島内に就職する高校卒業生は増加しつつあるようだ。将来的に家を守ってもらうためにも、子どもが地元に残って就職してくれることは心強いことだと思う。だが、あまりに熱心に地元に引き留めることにも疑問がある。生まれてからずっと壱岐島の中で過ごしていたら、社会勉強をする機会がやはり乏しくなってしまう。もちろん地方が悪いわけではないが、都会でいろいろな経験を積んだことが、将来、壱岐に戻って来た時に大いに役立つはずだし、外から壱岐を見ることで、その魅力を再発見できることも多い。
講演会で堀江貴文さんが「壱岐が潤うためには『外貨』を稼ぐべきだ」と語っていた。島外の人を相手に商売をするためには、島外の人のニーズをしっかりと把握する必要がある。それには島外で生活を送らないと、なかなか判らない。高校卒業生には、島外で多くのことを勉強して、再び壱岐に戻ってきてもらいたい。