本市初の盲導犬、ラブラドールレトリーバーのハリー(雄、2歳)が昨年11月から芦辺町の寺田克守さん(53)と共に生活している。
寺田さんは8年前に視力を失った。昨年10月に約3週間、公益財団法人九州盲導犬協会(福岡県糸島市)で訓練し、現在はハリーと自宅周りの散歩や買い物に出掛けている。
寺田さんは12月28日、壱岐島開発総合センターで、同協会の盲導犬歩行指導員、豊島めぐみさん=郷ノ浦町出身=と共に記者会見を開き、盲導犬について理解を求めた。
寺田さんは「障害物や段差を安心して歩ける。道路を横断する時に車が来たら犬が教えてくれるので安心」と利便性の向上を喜ぶ。
その一方、歩道を歩く時に、車を避けているつもりでも避けきれず、ドライバーから怒られることもあるという。寺田さんによると、盲導犬を連れたユーザーは道路左側を歩くが、盲導犬はユーザーの左側を歩くため、ドライバーからは盲導犬が人の陰に入り見えにくい。また、身体障害者補助犬法で受け入れ義務があるにも関わらず、飲食店や宿泊施設で断られることもあるという。
寺田さんは「盲導犬だけでなく、車椅子や聴覚障害などハンディキャップがある人への理解が、盲導犬をきっかけに広がっていってほしい」と話した。
豊島さんは「盲導犬はハーネス(胴輪)をしているときは仕事中で、基本的に触らず声を掛けず温かく見守ることをお願いしている。寺田さんとハリーが困っている時は、寺田さんに『手伝えることはありませんか』と声掛けをお願いしたい。壱岐では初めての盲導犬だが、特別な存在ではなく、当たり前に社会に受け入れられる存在になってもらえたら」と話した。