一支国博物館の第58回特別企画展「中島潔絵画展・新しい風~四季の詩(うた)~」が4日に開幕した。3月27日まで。観覧料は一般600円。
中島潔(なかしま・きよし、78)は旧満州生まれで、1歳から18歳まで佐賀県唐津市で過ごし、その後に上京。イラストレーター、アートディレクターを経験後に本格的に画家を志した。1982年にNHK「みんなのうた」のイメージ画が認められ全国的な注目を浴びた。故郷の情景を郷愁と愛惜を感じさせる繊細な筆致で描き、多くの童画を発表。その作風が生命の流れを思わせる優しい風が吹き抜けるようだと評され、「風の画家」とも呼ばれている。このキャッチフレーズは歌手さだまさしさんが考案したものだった。
今回の絵画展は、2011年に大病を患い東日本大震災を経て、立ち直ろうと描き上げた作品「空」「風」と、四季の詩シリーズの童画を季節ごとに36点の計38点。すべて原画となっている。
中島さんは絵画展に「コロナ禍で不自由な生活をしているけども、絵を観て和んで頂いて、宝物のようなふるさとでの日々を思い出して頂きたいと思っています」とコメントを寄せた。
須藤正人館長は「作品を観ると、日々の生活の中で長く忘れていた大切なものを思い出すような気持になる。その感情は人によってそれぞれ違うものなのではないか」と話した。
河合恭典学芸員は「今年は中島の画家生活50周年で、故郷の佐賀県立美術館でも展示会が開かれているが、本絵画展では主に『新しい風』シリーズの作品に絞り、四季の移ろいに沿って展示をしている。パステル調の独特のタッチで、明るい色彩の中に懐かしさだけではなく、哀愁・郷愁を感じられる。壱岐と航路で結ばれている唐津の懐かしい風景、玄界灘の様子などは壱岐市民にも共感してもらえるのではないか。作品の中にはゆがんだ建物やバス停、子どもたちの独特な服装、子犬『はあと』などが登場し、目の表情も1人1人が違う。1枚の作品をじっくりと観察して、自分なりにいろいろと発見をしてもらいたい」と展示について解説した。
博物館2階ではオリジナルグッズ販売コーナーが設置されており、版画、ポストカード、文具、絵画に登場する「はあと」のぬいぐるみなどが販売されている。