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壱岐高校歴史学専攻の8人が奈良大創立50周年記念特別賞。全国高校生歴史フォーラム

「地歴(地理・歴史)の甲子園」と呼ばれている第13回全国高校生歴史フォーラム(奈良大学主催)の成果発表会が23日、奈良大学で開かれた。地域の歴史や地理、史跡、文化財、文学、人物などに関する研究レポート143編の中から事前審査で優秀賞に選ばれた5編(4個人、1グループ)が発表を行い、審査の結果、壱岐高校東アジア歴史・中国語コース歴史学専攻2年生8人(大多和泰熙さん、亀井琢磨さん、清川智希さん、筑後裕哉さん、平田太輝さん、松尾泰地さん、村上直哉さん、本田あかりさん)の研究論文「未解明の古墳時代の集落に迫る~壱岐・車出遺跡とその遺物から見た巨石古墳との関係~」が、上位3編の1つ、奈良大学創立50周年記念特別賞を受賞した。同フォーラムに壱岐高校チームは3年連続で出品しており、事前審査で2017年優秀賞、18年佳作を受賞しているが、成果発表会では初の受賞となった。

壱岐高チームの発表は、壱岐島内の古墳の規模と集落遺跡の関係性に着目したもの。郷ノ浦町の車出遺跡を調査対象とし、地表調査で発見した約4百点の遺物から年代を推定し、同遺跡が弥生時代中期から古墳時代後期・飛鳥時代までの長い期間、壱岐島民の住居となっていた集落だったと推定。さらにその車出遺跡に最も近い山ノ神古墳の測量調査で、同古墳は巨石古墳に比べてはるかに小さい規模であることを示した。また、その周辺にも巨石古墳は見つかっていない。一方、これまでに調査が進んでいる勝本町の石路遺跡は古墳時代後期に突然出現した集落だが、周辺には古墳時代後期に造営された対馬塚古墳など巨石古墳が点在している。

同チームはこの比較から「壱岐の巨石古墳は、在地の勢力が伸長して造営されたものではなく、島外からの影響により造営されたものではないか」と推論した。さらに今後は「巨石古墳に葬られた人物や古墳を造営した人々はどこに住んでいたのか、なぜ巨石古墳を造ったのか、本当に巨石古墳は島外からの影響で造られたのか、といった謎を解き明かしていくために、巨石古墳付近の集落を発掘調査し、明らかにしたい」と結んだ。

同チームはこの成果を8人のメンバー全員が交代で発表した。同様の発表は9月の煌雪祭、10月に一支国博物館で開かれた東アジア国際シンポジウム会場でも行ったが、担当の吉川薫教諭は「緊張がなくなってきて、いままででもっとも判りやすく発表できたと思う。スライドを変えるなど工夫もしていたし、生徒たちは自信を持って臨んでいた。創立50周年記念特別賞は『個性と努力が際立つユニークな研究』に対して贈られたもので、今年だけの特別な賞。とても光栄だし、8人のメンバーの努力と指導して頂いた県埋蔵文化財センターの方々の協力のおかげです」と受賞を喜んだ。

受賞した他の2編は、学長賞が福岡県立修猷館高等学校・谷口生貴斗さんの「小地名『ホノケ』の研究~福岡県糸島市王丸集落~」、知事賞が鹿児島県立種子島中央高等学校・鎌田廉正さんの「明治期の種子島における異文化交流―ドラメルタン号漂着事件を中心に―」。いずれも九州勢が受賞した。

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