第72回北九州高校総体陸上競技大会(インターハイ予選)が13~16日、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎で開かれ、本市から5人(壱岐商3人、壱岐2人)が出場。松下翔紀(壱岐商3年)が男子四百㍍決勝で47秒92の4位入賞を果たし、6位以内が権利を得られる南部九州総体2019の陸上競技(8月4~8日・沖縄市タピック県総ひやごんスタジアム)への出場を決めた。壱岐商からのインターハイ出場は1994年富山大会陸上男子三千㍍障害に出場した篠崎康輔さん以来、25年ぶりとなる。
大会3日目に行われる八百㍍が本命だった松下だが、初日の四百㍍からエンジンを全開した。予選1組は昨秋の福井国体少年男子四百㍍を制したトップランナーの藤好駿太(福岡・修猷館3年)と同走。藤好には0秒23遅れたものの、47秒88と自己ベストを大きく更新するタイムで、予選2位で決勝進出を決めた。決勝は大会新の46秒73をマークした藤好には離されたものの、47秒92で4位。県大会決勝で不覚を取った相手の大川翼(佐世保商3年、6位)を退けて、雪辱を晴らすとともに、四百㍍でのインターハイ出場を決めた。
壱岐商は、陸上競技が盛んだった1970年代までは毎年のようにインターハイ出場者を輩出してきたが、80年代以降はソフトテニスで2回出場、そして94年の篠崎さん以来、出場から遠ざかっていた。壱岐高も2002年茨城大会で長島夏子さんが女子百㍍優勝、二百㍍2位の輝かしい成績を残したが、直近では10年沖縄大会男子四百㍍の小畑昴太さん以後、出場者が出ていない。壱岐からのインターハイ出場も9年ぶりとなる。
現在は仕事の傍ら、芦辺ランニングクラブで子どもたちの指導をしている篠崎さんは「壱岐商の後輩が続いてくれて嬉しい限りだ。インターハイには全国からすごい選手が集まってくるので決勝に残るのは大変だと思うが、相手を気にするのではなく自分の走りをすることが肝心。今年は沖縄での開催で暑さもさらに厳しいはずなので、疲労をコントロールすることが大切になる」とエールを贈った。
「インターハイ出場」という大きな目標を達成した松下だったが、四百㍍での激走が体調を狂わせてしまった。中1日で行われた八百㍍予選は第1組で1分57秒27をマークして1位。全体4番目のタイムで決勝進出を決めたが、決勝は2分00秒42でまさかの最下位敗退を喫してしまった。植田翔吾監督は「四百㍍の疲れがまったく抜けていなかった。レースも、優勝候補として常にマークされる展開の上、苦手なスローペースになってしまった。自分から仕掛けていく足もなかった。八百㍍はインターハイでも上位を狙えると思っていたのに、本当に残念だ」と悔やんだ。県大会で下した山田大詩(諫早3年)が4位、中里太一(鎮西学院3年)が6位入賞。スローペースだったとはいえ優勝タイムは1分58秒25で、松下が昨年の北九州大会で記録した1分54秒83から3秒42も遅いタイムだっただけに、なおさら悔しい敗戦となった。
得意の八百㍍でのインターハイ出場の夢は絶たれたが、まだ国体での八百㍍出場の可能性は残されている。インターハイ四百㍍も、今回マークした47秒88は昨年インターハイの7位相当のタイムで、決勝進出、上位入賞は十分に期待できる。離島の中距離アスリートが、華々しく全国デビューを果たす。