社説

地域の力で自殺防止を。

市はこのほど、「壱岐市いのち支える自殺対策計画」を発表した。

全国的な自殺者数は平成10年に3万人を超え、23年までは3万人以上という状況が続いた。24年以降は減少傾向にあるものの、年間2万人超えの高い水準で推移しており、毎日約60人が自殺していることになる。長崎県も全国と同様な傾向を示しており、28年は243人と最も少ない数となったが、壱岐市は24年から28年の合計が41人(男32、女9)で、国、県の自殺死亡率と比較すると約1・5倍の高い数値となっている。年ごとの自殺死亡率(人/10万人)は25年32・2、27年33・2、28年30・0で、県下10区分で最悪の数字になっている。27、28年は県平均の2倍前後の数値だ。

壱岐市の年齢別、性別自殺率では、どの年代も女性より男性が高く、特に80歳以上男性が10万人当たり84・2と最も高かった。本市で7年間記者をしているが、高齢男性の自殺に数多く接し、暗たんたる気持ちになる。市は30年9月に精神関係者連絡会を対象にアンケート調査を実施。その中で対策として「是非必要」が最も多かったのが「2次医療機関である壱岐病院の医療体制の整備」(精神科病床の復活など)で71%だった。他にも「地域住民に対する相談窓口の周知」「島内で精神科を受診することはかなりハードルが高く、病院の受け入れ体制を考えるべき」などの意見があった。

これらのデータ、意見を基に市は、庁内横断的に関係課で構成された「自殺対策計画ワーキング会議」、連携機関で構成された「自殺対策計画ネットワーク会議」を立ち上げ、計画を策定した。計画の詳細は市ホームページに掲載されているが、本市の深刻な状況を解消するためには、地域での見守りが最も重要ではないだろうか。現在、策定が進んでいる「まちづくり協議会」は、「1人も取り残さない社会」を目指したものだけに、自殺防止の役割をも果たす組織づくりを目指してもらいたい。

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