壱岐イルカパークの入園者が、開園から23年目で100万人を突破した。まさに「継続は力なり」で、100万人というメモリアルに敬意を表したい。市は平成32年度までのイルカパーク再整備計画を発表しており、壱岐の着地型観光の目玉施設としていく考えだ。
壱岐とイルカの関わりにはこれまで害獣としての捕獲など複雑な問題もあった。動物愛護に熱心な欧米諸国から見れば、壱岐は良い印象がなかったかもしれない。そんな壱岐だからこそ、イルカと向き合い、新たな共存の道を探し、世界へアピールするための施設を作ることが大切だ。だが、単にイルカショーを拡充させるだけでは、観光客にアピールするのは厳しい。記者が7年前、初めて同パークを訪れた時の印象は、入園料が安いことを差し引いても「えっ、これだけ?」というのが正直な感想だった。
首都圏には鴨川シーワールド(千葉県)をはじめ、新江ノ島水族館(神奈川県)、八景島シーパラダイス(神奈川県)など、関西圏にもアドベンチャーワールド(和歌山県)、城崎マリンワールド(兵庫県)などイルカなど海獣のショーを見事なエンターテインメントとして売り物にしている施設が数多くある。長崎県でも九十九島海きららのイルカショーは有名だ。これらのショーを見たことがある観光客にとって、壱岐イルカパークのプログラムや施設は物足りなく感じるに違いない。
壱岐という場所を活かすなら、野生イルカを利用したドルフィンスイムとイルカウォッチングを開発していく必要があるのではないか。ドルフィンスイムは伊豆七島の御蔵島などが有名だが、遭遇できる確率はそれほど高くないという。イルカウォッチングは南島原市加津佐町や熊本県天草市などで行われているが、交通の便は壱岐市の方が優位に立てる。日本でここだけしかない、イルカと触れ合え、歴史も含めてイルカのことを知ることができる施設になることを期待している。