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病人搬送に4席分運賃徴収、九州郵船の改定に非難。市航路対策協議会

市航路対策協議会(会長・白川博一市長)は14日、会議に九州郵船・万谷住雄営業部長らを呼び、座席指定化された11月以降に高速船ジェットフォイルで病人搬送を行う際、横臥(おうが=横になって寝る事)した病人は大人なら4席分の運賃を徴収すると同社が市内各医療機関に通知していたことについて、経緯の説明を求めた。この問題は11日の市議会定例会12月会議一般質問、赤木貴尚議員の質問で明らかになり、質問通告までその事実を知らなかったという白川市長は、航路対策協議会で同社に真意などを正し、同会で議論することを約束していた。

九州郵船(竹永健二郎社長)が11月7日付けで医療機関に通知した内容の概要は「ジェットフォイルでの病人搬送時、従来は席に余裕がある便の利用に際しては、横臥される方であっても1席分の運賃で利用いただいていたが、11月からの座席指定に伴い、横臥させる方は、(ジェットフォイル全体の)搭乗者の人数に関わらず大人は4席分、小学生は小児運賃の3席分、1歳以上小学生未満の小児は小児運賃の2席分の運賃を申し受ける」というものだった。

同社は「離島航路事業者として救急搬送等の需要に対応する使命がある」としてジェットフォイルに病人搬送席10席を確保しており、一般客に対して事前予約の対象外としている。当日の窓口発券時に病人搬送の利用がない場合は、まず5席分を自動指定で一般客へ販売。出港直前に残り5席も販売している。そのため指定化された11月になってから、最後に残った病人搬送用の5席分の使用実績は、全246便のうち28便(11・4%)と空席のまま出港する頻度が高くなっており、万谷部長は「営業機会の損失につながっている」と理解を求めた。指定席化以前も「概ね200席(定員257人)を超える多客便は4席分の運賃をいただいていた」と、急に4席分を徴収しようとしたわけではないことを強調した。またジェットフォイルでの病人搬送は11月に15件など、これまでも週3回程度の頻度で行っていることを説明した。

だが会議ではこの同社の姿勢に委員から
▼ジェットフォイルは指定席化の以前から予約を受け付けていたのだから、病人搬送席の事前予約ができない状況は、以前と変わりがないはず。指定席化を理由にするのはおかしい▼損失が出るのは満席の場合であって、11月に240人以上が乗船したのは22便、8・9%しかない。ガラガラでも一律に4席分徴収するというのは納得できない▼病人という社会的弱者に対して、冷たい仕打ちに感じられる▼実質的な運賃改定であるのに、市や航路対策協議会に諮らず、直接医療機関に通知するのは順番が違う。協議会の存在意義を軽視している▼ちょっと具合が悪いから横にならせてくれという人や、荷物を隣の席に置いている人からもその分の運賃を請求するのか▼指定席化は市民の利便性を高めるためにこの会議で推進したことなのに、これでは逆になってしまう。会として不名誉だ、などと非難する声が上がった。

また白川会長は市医師会からの意見として「すでに搬送された患者さんが、付添い人、帯同した医療関係者の往復分も合わせ、計7席分を徴収されて憤っていた、という報告があった。経済的な負担が大きいことに配慮してもらいたいとのことだった」と紹介した。

委員すべてから再考を促す意見が出たことから、白川会長は「企業は利益だけでなく、社会的責任が重要であることが、いま全国で広まっている。壱岐のために利益なしに尽力してくれている企業もある。九州郵船は壱岐、対馬の市民がいるからこそ成り立っている会社なのだから、その社会的責任についてもう一度考え直してもらいたい。きょうは社長が出席していないので、協議会の意見を持ち帰って社長、取締役会に諮って欲しい」と要望。万谷部長も承諾し、今回の措置の見直しを行うかどうか、近く協議会に報告することを約束した。

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