Iki‐Bizがアイデアを提供するのに対して、市ふるさと商社は商品開発にも協力するが、その重点を「掘り起こし」「ブランド化」「販売」に置いた組織と言える。主な活動として▽首都圏・福岡都市圏に向けた事業の展開▽全国の消費者に向けた事業の展開▽プライベートブランド商品等の企画・販売、の3点を挙げている。
出口事務局長は「実りの島と言われる壱岐は食資源に恵まれているが、小規模事業者が多いこと、離島という立地から販路開拓・営業活動が難しいことで、地域に埋もれてしまっている魅力的な商品が多い」と分析している。その手助けをするのがふるさと商社の役割だ。「通販で注文する時に、一般の消費者や飲食店では、同じ商品を大量に必要とするケースは少ない。だがいろいろな商品を注文すると、その商品ごとに送料が掛かってしまう。一方で、壱岐に多い小規模な生産者、事業者はまとまった注文があってもそれに対応できない。小ロットな商品を集めて、効率良く販売していくことがふるさと商社の利点になる」と強調する。
事務局の5人のスタッフは、注文に応じてダンボールに様々な商品を詰め合わせて発送する作業を毎日続けている。豆腐、アオサ、魚、卵、米など、取り扱っている壱岐産品であれば、完璧な梱包をしていく。「デスクの上で作業しているので、2~3年後には集荷場を作りたいですね」と出口さんは話す。
東京フードショー出展や日本橋長崎館での商談会などでは、販路拡大が着々と進んでいる。「ゆずしお」(なかはら食品事業部)は5㌘の小袋にして、スーパーで白身魚の刺身に付けて販売している。固形タイプの珍しい「古代米甘酒」(アグリファーム)は甘酒ブームに乗って、デザートとして北海道の飲食店で提供されている。
今春には通販ホームページを開設する。「現時点で30社、50アイテム程度が揃う予定。単に『美味しい』とアナログ的な宣伝をするのではなく、例えばカジメだとしたら食品成分分析をして数値化した特徴を記して、食べたらどれだけ元気になれるのか訴えていきたい。今年度中に新しい商品の試供品も2~3種類は開発していく」と意欲を語った。来年度はふるさと納税の返礼品なども手掛けていく予定だ。