社説

移住促進に意識改革を。

2018年の壱岐にとって最も重要な施策は「移住」だと思う。「働く場所の確保」「子育て環境の整備」ももちろん重要だが、仕事は特に必要がない年金生活者、在宅事業者で移住を希望している人は多い。子育て世代など若い移住希望者がいればそれに越したことはないが、そのような人は稀で、他の自治体も求めている。いまの環境で移住してくれる人を探すことが、人口減少対策には最も即効的だ。

市もCCRC、空き家対策など「移住」に取り組み始めているが、これらの施策は市総合戦略に沿って中期的な目標を立て実施しているため、計画は徐々に進んではいても、実際に移住者はあまり増えていない。中期計画を進めながらも、まずは目の前の人口増加が求められる。

例えば、本市には「UIターン促進短期滞在費補助金交付制度」があるが、この補助金は1泊当たり1人2千円を上限としている。1泊2千円でもないよりはマシだが、この2千円の補助を受けるためには移住活動計画書、滞在費補助金計算書、住民票の写し、市区町村税の未納がない証明書が必要だ。住民票や納税証明書の取得にはもちろん手数料がかかるし、計画書、計算書の作成にも手間がかかる。限度一杯の14泊をするような人ならいいかもしれないが、1~2泊で下見に来る人がこれほど面倒な手続きをするとは思えない。こんな手続きのためにせっかくの移住希望者を逃したらもったいない。

市民の意識改革も必要だ。悲しいことだが、いまだに公然と「壱岐の人間でなければ壱岐のことは判らない」などと発言している人がごく一部にいる。故郷を愛する気持ちは理解するが、市民がそんな感情を抱いている土地に移住したいと思う人は少ない。観光客でもそれは同様で、交流人口拡大にも影響する。このまま人口減少が続けば、本市はすべてに衰退していく。もう待ったなしの状況であることを、行政も市民も真剣に捉える時期が来ている。

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