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パラ五輪銀・道下美里さんが講演。壱岐ロータリークラブ創立50周年

壱岐ロータリークラブ(松永泰裕会長)の創立50周年記念式典・記念行事が5月27日、壱岐の島ホールで行われた。記念講演は、壱岐で合宿を行い、昨年のリオデジャネイロ・パラリンピック視覚障害女子マラソンで銀メダルを獲得した道下美里さん(40=三井住友海上)が「私の決断」をテーマに、障害を克服してマラソンを走ることで希望に満ちた人生を送っている現状などについて話した。記念演舞はチアダンス日本一の福岡大学付属若葉高校ダンス部の43人が見事なステージを披露。また今年創設された壱岐高校インターアクトクラブへの認証状伝達式なども行われた。

道下さんは、リオで伴走を務めた堀内規生さん(37)と、2人をつなぐロープの「絆」を手に、ランニングをしながら登場。昨年6月と今年3月に行った壱岐合宿の成果として、リオでの銀メダル、そして今年4月のロンドンマラソン金メダル、5月20日の東日本実業団選手権5千㍍(T12クラス)で日本新記録(19分10秒66)をマークしたことなどを報告した。
「リオの銀メダルは、絶対に金メダルを獲るつもりだったので悔しさも残った。でも今年3月の壱岐合宿の時に市民から“次は金メダルを獲って下さい”と言われて、それをロンドンで実現できた」と壱岐市民の声を励みに走ったことを強調した。
膠様滴状角膜ジストロフィーを発病し、中学生で右目を失明。25歳時に左目も発病し、ほぼ視力を失った。「自分の生きる意味、価値、役割は何なのか悩み、人に迷惑をかけているのではと何事にも悲観的になっていた。でも母が友人に“全然大変だと思ったことはない”と話しているのを聞き、涙がボロボロ出た。母が喜ぶ顔を見たいと盲学校へ通い、視覚障害の先生や同僚が白つえや点字で自由に歩き、学習している姿を見て、工夫と努力で克服できることを知った」と気持ちが前向きになった。
26歳からダイエット目的で始めたジョギングが「昨日よりも速く走れた爽快感、努力が記録として残ることの達成感で夢中になり、パラリンピックのマラソンを目標に走り続け、昨年それを実現できた」と以前は見出すことができなかった未来の夢を追うことが、人生を大きく変えたきっかけだと語った。
昔と現在の自分の違いについて「物事を深刻ではなく真剣に考えるようになった。自分の弱さを知り適切に対処するようになった。そして多くの仲間がいて対等に接してくれている。チーム道下は物事を批判的に考えるのではなく提案をし、思想よりも行動に移すことで困難を乗り越えている」ことなどを挙げた。
「今後の目標は、2020年東京パラリンピックでの金メダル獲得。リオではストレスの大きさなどが調子を崩した原因だったので、何事にも動じない強い心を身に付けて臨みたい。会場の高校生の皆さんも、夢や希望はあきらめなければ必ず叶うことを信じて、挑戦を続けてもらいたい」と会場に訴えかけた。

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