2018年も残すところあと4日。今年もいろいろな出来事があった壱岐島の1年を、壱岐新聞の紙面を飾った十大ニュースで振り返る。時事通信が選んだ国内十大ニュースは1位「オウム松本元死刑囚らの刑執行」、2位「日産ゴーン会長を逮捕」、3位「財務省が森友文書改ざん」、4位「西日本豪雨、北海道地震、災害相次ぐ」と深刻な話題が上位を占める1年だった。壱岐島も平穏無事だったわけではなかったが、最大の課題である少子高齢化・人口減少の解消へ向けての動きが徐々に顕在化してきた1年だった。2019年はこの動きをより加速化させていくことが大きなテーマとなりそうだ。
①無人飛行機 壱岐空港で実証実験
米国の遠隔操縦航空機大手のジェネラル・アトミクス・エアロノーティカル・システムズ社が5月、壱岐空港を拠点に無人機「ガーディアン」を利用した実証実験を行った。飛行回数は9回、総飛行時間は30時間で、壱岐海域をはじめ対馬、五島、普賢岳、日本海の大和堆南部などの巡視活動を行った。無人機が今後、実用化されるかどうかは日本政府の方針にもよるが、海に面していて住宅地上空を通過せずに離発着でき、定期便が少なく継続した時間で実験ができるなどの壱岐空港の特徴が、無人機にとって大きな利点となったことは、今後増加が予想される無人機、ドローンなどの基地として、壱岐空港の活用方法に光明が差してきたとも言える。また、一般公開では小中学生らが世界最先端技術に触れることができたという点で、壱岐のPRや経済効果以上に大きな意義があった。
②学生陸上で全国的な活躍
昨年に続き今年も、ジュニア・学生陸上界での壱岐の児童・生徒の活躍が目立った。6月の全国小学生陸上競技交流大会県予選では、男子4×百㍍リレーで壱岐ジュニアランナーズチームが大会連覇。女子走り高跳びでも松本陽鞠さん(盈科6年)が優勝し、ともに全国大会に出場した。1月の全九州小学生駅伝大会では壱岐ジュニアランナーズ男子が2位に1分39秒の大差をつけて圧勝。壱岐の小学生アスリートのレベルの高さを示した。8月の県中学新人陸上では野村夏希さん(郷ノ浦1年)が女子C八百㍍、同千五百㍍で、長岡幸奈さん(郷ノ浦2年)が女子B走り幅跳びで優勝し、10月のジュニアオリンピックに出場(野村さんは種目のある八百㍍のみ)した。高校生も10月の全九州高校新人大会で松下翔紀さん(壱岐商2年)、大久保翔貴さん(壱岐2年)が男子八百㍍で3、5位に入賞した。壱岐出身者では1月の箱根駅伝で順天堂大の江口智耶さん(石田中出身)が6区を、12月の全国高校女子駅伝で長崎商の田中亜可梨さん(芦辺中出身)が4区を走破。福井国体走り幅跳びには福岡第一高の松本汰壱さん(郷ノ浦中出身)が出場した。
③離島留学など入学者が急増
壱岐高校の東アジア歴史・中国語コースには今春、26人が入学。このうち13人が離島留学生で、昨年の10人を上回る過去最多の入学者数となった。今年度からスタートした小中学生を対象にした離島留学制度「いきっこ留学生」には、9月から5人が編入した。また、こころ医療福祉専門学校壱岐校の第2期生は昨年の13人を大幅に上回る25人が入学。このうち17人はインド、カンボジアからの外国人留学生だった。
④指定管理者交代 引継ぎ難航
7月に開かれた指定管理者選定委員会で、市ケーブルテレビ施設は関西ブロードバンドから光ネットワーク(熊本県)に、一支国博物館は乃村工藝社からパブリックビジネスジャパン(熊本県)に替わることが決まった。関西ブロードバンドは選定委員会の採点で落選、乃村工藝社は申し込みを辞退した。ともに開設以来、指定管理者だった業者だけに、初の引き継ぎ作業では様々な問題が噴出して難航している。利用者にとって不都合が起きないように、来年4月から正常な運営を行うべく、早急な問題解決が望まれる。
⑤中原副市長辞任 新副市長に眞鍋さん
2012年から副市長を務めてきた中原康壽さん(67)が10月31日付けで辞任した。辞任理由は「一身上の理由」とだけ発表され、白川博一市長は「歯の手術の影響で体調に不安があった」とのコメントをしたが、10月半ばから長崎県警が建設工事不正入札の疑いで市内建設業者、中原副市長、久間博喜総務部長らから事情聴取を行っていたタイミングだっただけに、市民にはもやもやとした気持ちが残った。白川市長は12月18日、新副市長に眞鍋陽晃前総務部長(62)を任命した。県警の捜査期間に約1か月の長期休暇を取った久間総務部長は市議会12月会議で、県警からは何ら措置がなかったこと、一旦は辞表を提出しようとしたが市長が受理しなかったことなどを説明した。白川市長も不正入札疑惑に関して「前副市長及び市職員に対して、警察として何ら措置及びコメントはないとのことだった」と警察から説明を受けたことを報告した。
⑥安定した高値 好調な子牛市
2016年4月市場から平均価格が80万円を超えた壱岐家畜市場の子牛市は、17年10月市場で一旦70万円台に下落したものの、18年は6市場とも平均価格が80万円台を維持。12月市場は今年最高の約84万8千円を記録し、高値安定が続いた。17年の年末に、これまで県の和牛を支えてきた壱岐産の種雄牛「平茂晴」が老衰のため死去したが、替わって同じく壱岐産の「金太郎3」の産子が高値で取引されるようになり、主役の座をしっかりと引き継いだ。
⑦日本酒醸造再開 島内で28年ぶり
重家酒造(石田町)は有人国境離島法の雇用機会拡充事業を活用して事業拡大を行い、日本酒を醸造するための「横山蔵」を6月に建設。9月から仕込みを始め、10月に「よこやま等外生酒」、12月からは純米吟醸「よこやまSilver」シリーズ5種などを出荷した。島内での日本酒醸造は28年ぶり。
⑧川下さん地元優勝 ウルトラマラソン
第3回壱岐ウルトラマラソンが10月20日に開かれ、100㌔に448人、50㌔に207人が出場。好天にも恵まれ、完走率は100㌔72・8%、50㌔87・0%の高い数値を記録した。100㌔では、昨年2位だった川下和明さん(39=JF郷ノ浦)が、地元ランナーとして初優勝を飾った。
⑨瓦質土器に線刻字 カラカミ遺跡で発見
1月9日、市教育委員会が平成29年度カラカミ遺跡調査結果を発表。カラカミⅩ区から発掘された2万7445点のうち、弥生時代後期(約2000~1700年前)に製作された遼東系の瓦質土器(鉢)の破片に「周」の文字が線刻されていることを明らかにした。瓦質土器に文字(漢字)が線刻されているのは国内初の発見例で、倭人にまだ文字文化がなかった弥生時代に、国内で文字が存在していたことを裏付ける貴重な資料となる。
⑩続々と来島 著名な芸能人
日本テレビ系の人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のロケが2月に行われ、TOKIOの城島茂さん、長瀬智也さんが来島。手作りの風力リヤカーで島内を走るシーンなどを撮影。2週にわたって放送された。7月は壱岐市合併15周年を記念した「NHKのど自慢」が開催され、大月みやこさん、氷川きよしさんが出演。11月は沖縄出身の人気バンド・HYのコンサートが壱岐の島ホールで開かれた。10月は県の離島観光促進事業「長崎ブルーアイランズプロジェクト」の動画撮影で歌手の福山雅治さんが来島。猿岩、小島神社などで撮影を行い、動画は12月からウェブサイトで公開されている。
番外・玄海原発 3、4号機再稼働
島内の出来事ではないが、佐賀県玄海町の玄海原子力発電所で、3月に3号機が、6月に4号機が再稼働された。3月30日には再稼働したばかりの3号機で配管から蒸気漏れが見つかり、5月には再稼働へ向けて燃料装荷が終了していた4号機で冷却水のポンプの不具合で部品交換をするなどのトラブルもあった。白川市長は再稼働後も「市民が不安を感じている限りは、再稼働に反対だ」との姿勢を変えていない。