第2次壱岐市総合計画(平成27~31年度)を審議する市総合計画審議会(長嶋立身会長)は9日、同計画案の答申書を白川博一市長に提出した。同案は6の基本計画(5年間)と25の実施計画(3年間、毎年度見直し)で構成。市総合戦略などと連携して、各種数値目標を盛り込んだ。将来像は17年に制定した壱岐市総合計画に引き続き「海とみどり、歴史を活かす癒しのしま、壱岐(いきいきアイランド)」とし、「自ら関わり、共に創る自然の島づくり」を基本理念とした。同案は22日に予定されている市議会定例会10月会議に提出され、審議後に議決する。
提案された6の基本計画と、主な審議会の付帯意見は以下の通り。
【産業振興】◎産業振興で活力あふれるまちづくり▽廃校に商業施設を整備することで有効活用を検討▽雇用を増やすために新規雇用に限り、3年間社会保険料などを企業に助成。
【福祉・健康】◎福祉・健康づくりの充実で安心のまちづくり▽助産婦不足に関して、帰島して働くことを条件に、希望者に奨学金を貸し出す制度を検討。
【自然・生活環境】◎安全安心で環境にやさしいまちづくり▽廃棄物の堆肥化などの取り組みの推進▽空き家の有効活用▽道路や公園などの緑化の維持管理
【教育・文化・スポーツ】◎心豊かな人が育つまちづくり▽壱岐輩出の偉人教育を学校教育の中でさらに取り組み、郷土を大切にしようとする心情を育てる▽壱岐在住外国人による外国語教室などで身近な国際交流を行う▽学校外で学べる環境を整備し、幼児相撲、子どもサッカーなど子ども向けの取り組みの選択肢がさらに広がれば、早い段階で才能の見極めがしやすくなる。
【国内外交流・移住・定住】◎国内外交流が盛んなまちづくり▽スポーツ合宿誘致を進めるには公式規格の競技施設を整備する必要がある▽宿泊施設のバリアフリー化や観光地のトイレの温水洗浄便座の整備▽郷ノ浦港のジェットフォイル専用浮桟橋の整備▽福岡からの航路の乗客・車両往復割引の開始▽島内主要ルートのみの無料バス運行
【地域経営】◎参画と協働による市民が主役のまちづくり▽あらゆる市の施策に男女共同参画の視点を取り入れる▽市民力事業の継続。
長嶋会長は「市民の意見を踏まえた、今後5年間のもっとも基礎となる計画を、3回の会議で概ね作ることができた。安倍総理が提唱する“三本の矢”(希望を生み出す強い経済、夢をつむぐ子育て支援、安心につながる社会保障)にも準じたものになったと思う。PDCA(計画、実施、評価、改善)の導入により、当然見直しも必要になってくるだろう」と成果を重視した行政運営に期待を寄せた。
白川市長は「市民と協働し、職員一丸となって計画を実行していく。特に人口減少対策は、いまを逃すと後がない。中央との繋がりでいろいろな情報を入手し、その部署にアタックし、いち早く反映させていくことが重要だ」と総合計画実施の決意を語った。
笹原直記副市長は「計画を実行に移す過程で、市民の声を聞くことが肝心。若い人や女性など会議だけでは拾い切れていない声を、私なりに聞いていきたい」と意欲を示した。