九電工(本社・福岡市)女子陸上部の監督、選手4人、トレーナーの計6人が、1月28日から2月4日まで、芦辺町の壱岐の島新春マラソン大会のコースを中心に、壱岐合宿を行った。実業団の陸上部が壱岐で合宿を行ったのは初めて。
九電工女子陸上部の長距離メンバーは、1月19日の選抜女子駅伝北九州大会で優勝するなど、九州を代表する強豪チーム。今回のメンバーは延岡市で合宿中の本隊とは別動隊で、選手それぞれがフルマラソン直前の準備、新人研修、リハビリをしながらのトレーニングなどがテーマ。芦辺町のかなや旅館を拠点にし、清石浜や少弐公園方面へのランニングを毎日続けた。
9日の北九州マラソンで初めてのフルマラソンに挑戦する竹村理沙さん(26)は、大会前にリラックスすることを目的に壱岐合宿のメンバーに選ばれた。「海がきれいで、走っていて本当に気持ちが良い。島ならではの風の強さを感じますが、タイムを気にしないで走る時には、風を受けるのもトレーニングになると思います。平坦なコースも、アップダウンもあり、ハリエーションに富んでいる点も魅力です。すごくリラックスできました」と気持ち良さそうに海沿いを疾走した。
リハビリ中の中尾千明さん(21)は「魚がとにかくおいしくて、お腹いっぱいに食べています。例年はこの時期、奄美大島や宮崎で合宿をしていますが、思っていたほど寒くなかったので、体もよく動いています」と静かでゆったりとした環境が気に入った様子。筑紫女学院高校から今春、九電工入りする山下未来さん(18)、山下希望さん(18)は初の実業団合宿に緊張しながらも、海のそばを走る楽しさを満喫した。
今回の合宿は壱岐市福岡事務所が誘致し、直前の1月23日に藤野圭太監督(46)が同事務所・出口威智郎所長の案内で視察を行い決定した。「当初は合宿の予定はなかったのですが、ゆったりと調整するのには適した場所だと思いました。宿舎からそのままトレーニングコースに入れるので、練習後も体を冷やさない点が気に入りました」と藤野監督が決断した。
だが今後の合宿誘致には厳しい意見も出された。「実業団が合宿をするためには、やはりプラスアルファの部分が欲しい。ただ走れるというだけなら、福岡の近くにも数多くコースはあります。例えば交通規制をしなくても走れるコースがあるとか、海のそばに専用のコースを設けるなど、壱岐にしかない特徴があれば、どんどんと合宿にやってくるのではないでしょうか」と指摘した。
4~6月には十八銀行女子陸上部の合宿が予定されている。島外スポーツ団体誘致促進助成金制度だけでなく、専用のロードコースの整備や、運動部合宿用の設備を備えた宿泊施設など、今後も合宿を継続してもらうためには、様々な工夫、施設整備も必要になってきそうだ。