6月23日号の社説で「大谷グラウンドを全天候型に」との提言を行った。それとほぼ同様の質問を、9月4日の市議会定例会9月会議一般質問で鵜瀬和博議員が行った。
鵜瀬議員の案は「大谷グラウンドを多目的施設ではなく、陸上・サッカー競技場として付帯設備も含めて整備し、交流人口拡大策としてスポーツ合宿、各種大会誘致活動に力を入れ、壱岐からも五輪、パラ五輪の選手を輩出できるように」というものだった。
市執行部の回答は「大谷グラウンドはソフトボールの県大会などでソフトボール専用球場のサブグラウンドとして使用しており、交流人口にも大きく寄与している。ゴムチップ舗装をすると、ソフト、野球、グラウンドゴルフなどの使用に支障が出る。市体育協会と論議が必要だ」とした。
市の回答は正論だ。各種団体が活用しているグラウンドを改修し、一部利用が制限されるようになるのなら、十分な話し合いが必要だ。白川博一市長は常に「まずは市民、民間が主導で計画を立て、それが市のためになるなら市は応援する」と民間主導が優先されるべきだとも述べている。
だが市の将来を左右する、核となる事業ならば、もっと市が主体的に動くことも必要ではないだろうか。全天候型への改修は、今春に対馬市が行った工事では総事業費が3億4千万円という巨額なものだった。実現すれば本市にとってスポーツ文化の中核拠点となる施設になるだけに、市としての明確なビジョンも示してもらいたい。
いま壱岐のジュニア陸上競技は県内トップレベルにある。サッカークラブには100人を超える部員がいる。子どもたちの素質をさらに伸ばし、子どもたちからの要望が高い競技に対して、施設面などから市がバックアップすることでスポーツ教育を進展させることも重要であるはずだ。
大谷グラウンド改修は、大会ごとに問題になる駐車場整備も含め、団体と市が一体となった積極的な取り組みを求めたい。