社説

イルカ捕獲・飼育に世界は否定的

市議会9月会議一般質問で、松本順子議員がイルカパーク問題に切り込んだ質問は新人議員とは思えない迫力だった。これまでもイルカパークに関しては多くの議員が質問に立ってきたが、その大半は市予算の使い方や指定管理業者の運営体制に関するもので、和歌山県太地町の追い込み漁にまで踏み込んだ議員は初めてだった。
イルカの追い込み網漁業や突棒漁業は、国が捕獲枠を決め、都道府県が許可をしている正式な漁である。沖縄県を除く九州地方ではイルカ捕獲枠が設定されている自治体はなく、本市も現在はイルカの捕獲はできないが、他の自治体の政策に対して壱岐市議会として異議を唱える立場にはない。だが壱岐市はその太地町からイルカ購入を続けており、追い込み漁に関して市の見解が求められるのは当然のことでもある。
一部の過激な動物愛護活動家以外にも、追い込み漁に反対している人は多い。一方で、イルカ漁は紀伊半島などでは伝統文化となっており、イルカ食も地域によって盛んに行われている伝統食である。捕鯨問題と同じで「知能の高い動物を食べること」に関しては賛否様々な意見があるだろう。だがイルカを捕獲して生体販売することや、これを購入して水族館で展示することに関しては、否定的な考え方が世界的な流れになりつつある。
米国の水族館のイルカはほぼ繁殖により維持され、野生からの導入はない。これまで水族館用に多くのイルカを捕獲して輸出していたロシアも商業・教育・文化目的の捕獲は禁止になった。カナダはイルカの飼育が法律で禁止になり、韓国でもイルカの輸入が禁止され水族館も新たな導入は行っていない。そして日本でも、3年後にリニューアルオープンする東京・しながわ水族館はイルカ展示廃止を決めた。
本市も今後はインバウンド客が観光を支える存在になる可能性があるだけに、追い込み漁や展示に対しての世界の反応にも十分に配慮しながら、今後の方針を決めてもらいたい。

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