社説

社説・地検判断前の政倫審は必要か

市長選に絡む指名外し問題で市政治倫理審査会(政倫審)が開かれている。第1回は問題点の整理、第2回は市長、副市長に対して事情聴取が行われたが、傍聴していて何とも腑に落ちない思いが強い。本当に必要な審査会なのだろうか。
市民からの請求は、市長らが刑事訴訟を起こされ長崎地検が受理したことが市政治倫理条例に抵触するというものだが、それならば議員、市長、副市長、教育長が訴訟を起こされ、請求があれば必ず政倫審も開かねばならなくなる。刑法は市条例よりも上位性を有するのに、政倫審を同時または先に開くことは、経費の無駄遣いにも思える。
地検はまだ起訴、不起訴などの判断を下していない。地検による捜査で起訴されれば公判でその真実は明らかになる。弁護士らが委員を務める政倫審とはいえ、地検以上の調査能力、地裁以上の判断能力があるわけではない。もし不起訴、無罪などとなった上で、市条例には抵触すると考えられるのなら、それから開くのが正当なタイミングではないか。
一方で、市長の説明責任という点では疑問もある。市長らは「捜査に影響を与える恐れがあるため、憲法、刑事訴訟法などの観点から発言を控えたい」との主旨で事情聴取に対して答えない部分が多かったが、憲法38条1項は「何人も、自己に不利益な供述を強要されない」とあるだけで、自ら正当性を主張することは何ら憲法に抵触しない。
刑事訴訟法311条は「被告人は、終始沈黙し、又は個々の質問に対し、供述を拒むことができる」と公判廷における供述のみに絞ったいわゆる黙秘権であり、現時点で被疑者だが被告人ではない市長らには当てはまらない部分がある。
相手方のプライバシーなどに配慮し、公務員の守秘義務として発言を控えているのなら、その旨をはっきりさせないと市民は不満、不安を感じる。政倫審よりも記者会見で、主張するべきことは主張した方が良かったのではないかと、記者としては思わずにはいられない。

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