原の辻ガイダンスの企画展「車出遺跡群再整理資料一斉公開展~匠の石~」(市教委社会教育課主催)が始まっている。入場無料で3月21日まで。同遺跡群の発掘調査で見つかった約10万点の資料のうち、弥生時代の土器などと同じ場所から出土し、当時の生活の様子がうかがえる石約90点を展示している。
注目されるのは、鉄成分が付着した石で、高温に熱されて溶けた鉄が付着していることから積極的に鍛冶が行われたことを裏付ける貴重なものという。また、鉄の刃物を研いだと見られる小型の砥石もあり、狩猟先で研ぐため携帯していたものと見られ、車出遺跡の弥生人の行動範囲の広さを物語っている。
敲(たたき)石は、木の実を潰したり、鉄製品を加工する際に鍛冶具として使われたもので、叩かれた面は凹み、何度も打ちつけた弥生人の息使いが伝わるものとなっている。
漁労具関係では、素潜り漁をする時に体を沈めるための錘(おもり)にした「大型有孔石錘」や魚釣りで錘や浮きとして使われた小型の石を展示。大型有孔石錘は、同様に漁労が行われたと見られるカラカミ遺跡からは見つかっておらず、集落ごとの漁業形態の違いも窺える。