社説

市長選立候補予定者に望むこと

2月2~3日に大石賢吾知事が本市を行政視察した。「知事と壱岐を語る会」も催され、初めて大石知事と生で触れ合った市民も多かった。県議会の答弁など執行部が作成した原稿を読んでいる時とは違った、全国最年少知事らしく若々しく、親しみと熱意のある言葉に好感を持った参加者もいただろう。
語った内容も、長崎県や離島の課題とその解決方法、未来の可能性など、知事の思いをざっくばらんに話しており、県政が向かおうとしている方向性がしっかりと示されていた。知事は語る会終了後は出口に立ち、参加者1人1人と挨拶や名刺交換を行っていた。知事と直接的につながりを持てる貴重な機会でもあった。
それだけに残念だったのは、会場に次期市長選立候補予定者4人のうち、主催者と関係のある1人しか姿を見せていなかったことだ。当選後に県と密な人脈を作るためには絶好の機会だったはずだし、県政と市政の関わり方を勉強する機会でもあった。
もちろんそれぞれの立候補予定者には時間的な事情などもあっただろうが、この会だけでなく、総合計画、自治基本条例、子ども子育て、特別職等報酬、水道水源保護、高齢者福祉・介護保険事業計画など公開で行われている各審議会、委員会でも立候補予定者の姿を見かけることは少ない。今後の市を左右する大切な会議ばかりで、委員がどのような意見を出してそれぞれの計画が決定されているのか、ぜひ聞いてもらいたい。
選挙戦は「勝つこと」が第一であり、勝たなければ何も始められない。告示前でも1人でも多くの市民に対して自らの政治活動を示していくことが重要であることは理解しているが、新人4人の争いとなる予定の今回の市長選で有権者が最も気になっているのは「市政全般の幅広い行政経験が少ないのに、これまで以上の市政運営を行っていけるのだろうか」という点だ。名前を売るだけでなく、市政の勉強にもぜひ真剣に取り組んでもらいたい。

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