先週号の本紙で衝撃的な数字が掲載された。「壱岐市の犬の殺処分数(令和3年度)は218頭で、全国2739頭の約8%を占めている」。担当した記者に思わず「県内の8%ではなく、本当に全国の8%なのか」と聞き返したほどだ。市民としてあまりにも恥ずかしい数字である。
3年度の犬・猫殺処分頭数・率は長崎県が全国ワースト1位で1345頭(犬341頭、猫1004頭)で66・9%だった。「殺処分ゼロを目指す」と掲げている自治体も多く、全国の殺処分頭数は年々大きく減少し、犬・猫とも10年前の10分の1以下になっているが、長崎県はその減少率が緩い。特に犬は、341頭のうち218頭を本市が占めているのだから、本市の頭数がワースト1位の主因となっている。
野良犬の問題は市議会でも毎年のように取り上げられてきた。記者の自宅近くにも多くの野良犬がいて、日が暮れると歩いている人に吠えまくる。早朝や日没後は怖くて散歩や徒歩での買い物もできないし、児童が追いかけられたこともあった。市に駆除を依頼しても、簡単な見回りと、犬が見向きもしない檻のワナを仕掛ける程度で、効果は見られていない。
もちろん野良犬を駆除すればその分だけ殺処分が増えることになるが、放置しておけばさらに繁殖を繰り返して増え続ける一方になる。一時的に殺処分頭数が増えたとしても、駆除、保護することが将来的な殺処分ゼロにつながるはずだ。
犬を放し飼いにしている飼い主もいる。これはマナー違反であり、動物愛護法の努力義務違反でもあるが、罰則規定がなく、周辺住民が注意しても改善されない。本市では罰則付きで放し飼い禁止条例を設けるべきだ。
本市でも殺処分ゼロを目指して「壱岐島わんにゃんお守り隊299」が野良猫・犬の保護や譲渡会など活動を積極的に行っているが、ボランティア団体単独の活動でこの状況を急激に変えることは難しい。行政が主導し、殺処分ゼロに真剣に取り組んで欲しい。