壱岐の中学生アスリートが長崎本土や福岡の陸上強豪校に進学することになった。この時期に明らかになっているのは推薦入学で、一般入試で陸上強豪校を受験する生徒もおり、壱岐の中学陸上黄金世代の多くが「島外流出」となりそうだ。
才能のある子どもたちが、より才能を伸ばすことができる環境で競技生活を送りたいと考えるのは当然のこと。高校スポーツとなると専門性も求められるため、全国トップクラスを目指すにはその競技、種目に特化した高校を選ぶようになる。海星に進学した土谷一志さん、小畑翔大さんは甲子園出場という夢を叶え、いまは大学野球で活躍している。だが壱岐市民として、また島内マスコミとして、残念な気持ちがないわけではない。特待生として各種免除はあっても家庭の負担はやはり大きいし、何よりも15歳の子どもを送り出す親御さんはさぞ寂しいことだろう。
壱岐高校の東アジア歴史・中国語コースのように、壱岐商業高校に離島留学「陸上競技コース」を新設できないだろうか。壱岐高のこのコースは今春初めて定員以上の入学希望があり、ようやく軌道に乗ってきた。島外からの若者流入だけでなく、島内の生徒にとっても魅力的なコースになりつつある。
離島留学制度は県内5校が設置しているが、壱岐商はまだ導入していない。陸上競技コースを新設し、専門の著名な監督、コーチを招へいすれば島内外の中学トップアスリートが集結する可能性は十分にある。五島高校にもスポーツコース陸上部があり重複することになるが、福岡との交通の便を考えれば壱岐が優位であるし、中学生の陸上競技レベルは壱岐の方が高い。陸上に特化したコースならよりハイレベルな教育を施せる。1月の全国女子駅伝で本県は3位入賞を果たした。「陸上王国・長崎」を更に推し進めるため離島2校に「陸上コース」があっても構わないはず。市、高校、県でぜひ協議してもらいたい。