「心は伝わる」ことを肌で感じた。B’zコンサートが13日、無事に終了した。これだけの超大物アーティストが来島してのコンサート開催は、壱岐の歴史上、初めてとも言える出来事だった。
それはそうだろう。市内最大のホールが観客収容最大1025席の壱岐文化ホール。今回は全席S席で8800円。満席で9百万円ほどの売上にしかならない。来場者が少なければグッズやCD販売額も少ない。それでも出演者・スタッフ約百人とツアーバス4台などが来島し、2泊滞在した。その経費を考えれば、コンサートは成功でも数千万円規模の大赤字という計算になる。天候不良によるフェリー欠航のリスクも背負っていた。大物であればあるほど、離島でのコンサートは難しいことなのだ。
それでもB’zの2人は、自らの意思で壱岐を選んで、訪れてくれた。市民にとって、これほど嬉しいことはない。その感謝の気持ちが「B’zライブ歓迎委員会」の立ち上げにつながった。1面の記事だけではとても紹介し切れないほど、多くの人が“おもてなし”に参加した。
トラブルもあった。直前になって大手旅行会社から宿泊の大量キャンセルがあった。怒り心頭な事態だったろうが、宿泊施設の代表は「満室で多くのお客様をお断りしてしまった。どこにも泊まれないで野宿をして、体調を崩した人、嫌な気持ちになった人はいなかっただろうか」とまず来島者を心配した。別の施設では直前でもキャンセル料を取らなかった。「またいつか来ていただければ」と話した。壱岐ならではのエピソードだった。
“おもてなし”が大成功だったことは、開演前の文化ホール周辺での取材でよく判った。来島したみんなが笑顔、笑顔、笑顔で、フードコーナーで壱岐牛やカキの炭火焼、壱岐焼酎の無料試飲を楽しみ「壱岐、サイコー!!」とコメントした。B’z2人のMCでの言葉を待つまでもなく、歓迎委スタッフの労は報われた瞬間だった。みんなの心が通い合った、EPICな壱岐の3日間だった。